第24話 別れ×旅立ち
「ユウヤ
ステアは勢い良く頭を下げた。
カタクヘ帰る道中、ステアの誤解を解くことができた。
どうやら、ステアの父はあのゴントらしく、父親や周りの人間が盗賊だとは知らずに育ったらしい。
ゴント盗賊団の残党が、俺の事を野盗だと嘘を吹き込み、今回の件に至ったそうだ。
カタクヘ戻ったあとはギルドへ説明し、ステアたちの処分を任せる事になった。
ステアはギルドで働くことになり、監視役兼教育係はエルさんが着くことになった。
「今日から私があなたの教育係です。分からないことがあればなんでも聞いてくださいね」
「おう!」
「返事をする時は『はい』です」
「ぅ……はい」
さっそく喋り方を指摘され、ステアは怯える小動物のように返事をした。
「さてと、俺たちは帰って飯にでもするか」
「ん」
「ステア、頑張れよ」
「おう、じゃなかった……はい!」
「あ、ユウヤさん待ってください。マスターから言伝を預かってます」
俺たちがギルドを後にしようとした時、エルさんに止められた。
「言伝は──『王都行きの荷馬車は明日の昼、イスタから出発となった。ここからなら早朝に出発すれば間に合うじゃろう』とのことです」
「明日の早朝か……」
王都への出発が目前に迫っていた。
「それと、こちらがティナちゃん護衛の依頼書と前金になります。護衛が長期になると思われますので、報酬の半額を先に支払わせていただきます。残り半分はノースフルのギルドに依頼書を提示していただければ支払われますので」
「ありがとう。エルさんには色々と世話になった」
「仕事ですから……明日はお見送りに伺いますね」
「私も行く、行きます!」
エルさんたちと別れた後、薄暗い街灯に照らされながら狐の尻尾亭へ向かった。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
「待ってたぜ、ユウヤ!」
「おかえりなさい。食事の準備が出来てますよ」
「ティナちゃんも一緒に食べよ!」
宿に戻ると、ホールにカトルたち3人の姿があった。
「どうしたんだ? みんな集まって」
「レクスも後から来るぜ。明日行っちまうんだろ?」
「今日は私たちの奢りだからいっぱい食べてね」
「って言ってもウチの母さんの料理なので、味はあまり保証しませんが……」
「サンク! あんた今、なんか言ったかい?」
「いえ! なんでもありませんッ!」
厨房から鋭い視線がサンクに刺さった。
どうやら、みんなで送迎会を開いてくれるということらしい。
俺たちは飲み食いしながら談笑し盛り上がった。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
次の日の早朝……
「頑張ってきな。……まったく、歳とると湿っぽくていけないねぇ」
女将さんが目尻に涙を浮かばせながら言った。
「またカタクに来たら泊まらせてもらうよ」
「ああ、いつでも待ってるよ!」
その時、宿屋の扉が勢いよく開かれた。
「間に合ったわ……!」
そこには大きな袋を抱えたシェリーさんの姿があった。
「注文の防具……できたわよッ!」
フラフラの足取りで手渡された袋の中には、エレメンタルのような透き通った赤と青のプレートアーマーが入っていた。
プレートアーマーは胸、肩、腕、足の各部位に別れており、今の防具の上から装着できるようになっていた。
「ありがと……って、寝てるし」
お礼を言おうとしたが、シェリーさんは床で幸せそうに寝ていた。
「防具屋のシェリーだね。まったく……」
俺はティナにワンピースの上から、青いプレートアーマーを装着し、自分も赤いアーマーを装着した。
「あとは私がやっとくから、アンタらは行ってきな」
「ありがとう。いってきます!」
「いってきます」
狐の尻尾亭を後にした俺たちは、薄暗い街中を抜けて南門へ向かった。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
門に着くと、俺たちを見送ってくれる人達が集まっていた。
「ユウヤさん……もういぐなんで……」
ステアが泣きながら言った。
鼻水やら涙やらで顔がめちゃくちゃだ。
「別に今生の別れじゃないんだ。また近くに来たら街に寄るよ」
「そうですよ。また会いに来てくださいね」
「いつでも帰ってくるといい。カタクはいつでもユウヤを歓迎するぞ」
エルさんと一緒にマスターまで見送りに来てくれていた。
この時間はギルドが混雑してるはずだが、2人共出てきてて大丈夫なのだろうか……
「ユウヤさん、頼まれていたティナちゃんの身分証です」
「ありがとう」
俺はエルさんからアイアンのギルドプレートを受け取った。
ティナの身分証はボロボロのプレートしか無く、本人のものなのかも定かではない。
身分証としての効果もないので、新しくギルドプレートを作ってもらっていた。
「俺達も後を追うからな!」
「僕達はもう少し力をつけたら、ノースフルの迷宮に挑むつもりです」
「すぐに追いついちゃうから! ティナちゃんも元気でね」
カトルたち3人は魔法の取得方法を広めるように、ランディから頼まれているそうだ。
魔法が使える冒険者も次第に増えるだろう。
「ユウヤ。楽しかったぜ」
「次会うときはもっと強くなってるからな」
「その時はまたやろうぜ」
「ああ」
レクスと固い握手をして、再戦を誓った。
「じゃあ、そろそろ行くか!」
俺は魔道二輪に跨り魔力を流す。
ティナは後ろに乗って、俺の腰に腕を回した。
魔導二輪が空走モードに切り替わり、地面から離れ浮き上がった。
後ろを振り返ると、みんなは口を開けて固まっていた
──魔道二輪って、まだみんなに言ってなかったっけ? ま、いいか。
「じゃ、またな!」
俺はそれだけ言い残して、アクセル全開でその場をあとにした。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
「ここが王都パルディエ……」
赤い髪を後ろに束ねた、透き通る翡翠のような瞳の少女は脇に差した刀の頭を強く握りながら呟いた。
少女が見上げる石造りの外壁は、王都を囲むように聳えている。外壁はその終わりが見えず、どこまでも続いているかのように錯覚させる程だ。
少女は強く拳を握り、王都の巨大な門へと歩き始めた。
-----------今の2人のステータス-----------
【名前/性別】グガユウヤ / 男
【レベル/Exp】Lv.22 / 6046<Next:878>
【スキル】短剣:Lv.3 / 双剣:Lv.1 / 料理:Lv.5 / 身体強化:Lv.3<0.4> / 威圧:Lv.2 / 縮地:Lv.2 / 闘気:Lv.1 / 火魔法:Lv.3<1.0> / 水魔法:Lv.3<0.4> / 風魔法:Lv.3<0.8> / 土魔法:Lv.3<0.2> / 生活魔法:Lv.- / 毒耐性:Lv.2<0.2>
【ユニーク】転移者 / 鑑定 /
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【名前/性別】ティナ / 女
【レベル / Exp】Lv.?? / ????<next:->
【スキル】火魔法 Lv.? / 水魔法 Lv.? / 風魔法 Lv.? / 土魔法 Lv.? / 繝槭リ繧ェ繝シ繝ゥ Lv.? / 生活魔法Lv-
【ユニークスキル】遨コ髢楢サ「遘サ / 逡ー遨コ髢灘卸騾
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