第136話 新たなアーティファクト
次の階層へと下る階段を下りきると、今度は先ほどまでの二階層とは打って変わり、殺風景で狭い空間が俺たちを待っていた。
その部屋の中心には何やらボロボロの宝箱のようなものが置いてある。それを見て俺は思わずぽつりとつぶやいてしまう。
「……絶対罠だろアレ。」
こんな狭い空間にぽつんと一つ開けてくれと言わんばかりに設置されている宝箱……罠だと思わないやつはいないだろう。
宝箱を怪しく眺めているとナインが問いかけてくる。
「マスター?あれを開けないのですか?」
「いや、どう見ても罠の類だろアレ。開けたらやばい煙が出てきたり、はたまた魔物だったりするんじゃないのか?」
「いえ、スキャンの結果……生体反応はありませんし罠でもないようです。」
「はぁ……怪しさ満点なんだけどなぁ。」
でもナインがそう言うのなら間違いないのだろう。彼女を信じて開けてみようか。
恐る恐る宝箱へと近づいていざ手をかけてみると、ボロボロだった箱の上部はあっさりと崩れ落ちてしまう。
「お?これはなんだ?」
宝箱の中には何やら見たことのない文字が刻まれた二対の腕輪のようなものが入っていた。
こんなダンジョンの中にある宝箱から出てくるんだ、ただの腕輪ではないと思うんだが……。
「ナイン、これ何かわかるか?」
「少々お待ちください。」
そしてナインは少しの間目をつぶる。次に彼女が目を開けた時、彼女は俺が手に持っていた腕輪のようなものについて話し始めた。
「マスター、ナインの
「ほん?ってことはミラ博士が作ったアーティファクトってことで間違いないのか?」
「はい、間違いありません。」
「じゃあ性能もわかるか?」
「そのアーティファクトは両腕にはめて魔力を流すことで起動するようです。」
「魔力を流して……起動?」
試しに腕にはめて魔力を流してみると、バチバチと腕輪が雷を纏い始めた。
「おぉ!!なんか雷が出たぞ?」
「その状態で腕を前に突き出してみてください。」
「腕を前に?……こうか?」
ナインに言われるがまま腕を前に突き出してみると、腕輪が纏っていた雷が拳を突き出した方向へと向かって放たれた。
「おぉ~!!雷を放出できるアーティファクトなのか。」
放たれた雷は壁にぶつかると、その壁を黒く焦がした。相当な火力らしい。
これはまた遠距離攻撃手段が増えたな。
「放出する方法もたくさん種類がありまして、例えば両手をこんな感じで近づけてみてください。」
ナインは両手を胸の前に持ってくる仕草をして見せた。
彼女の真似をして両手を胸の前に持ってくると、手と手の間にバチバチと音を立てて雷の球体が作られていく。
「雷の……球?」
「それを放り投げるように手を動かしてみてください。」
「わかった。」
言われるがままその雷の弾を放り投げてみると、今度は地面に着弾した瞬間あたりに雷を放出して爆発した。
「なるほど、範囲攻撃か。」
これはなかなか使い勝手がいいな。稲妻のような速度で放出できる遠距離攻撃と、広範囲の爆発攻撃……。使い方を分ければかなり強そうだ。
「性能はそんな感じです。ミラ博士が最初のほうに作ったものなので、かなり性能に関しては単純になっています。」
「その分わかりやすくて助かるよ。あんまり複雑なのは逆に扱いづらいからな。」
性能が単純なほうが俺にとっては使いやすい。
「さて、この階層はこれでおしまいかな?」
宝箱のしたのはさらに下へと続く階段がある。
「そのようです。」
このステージはボーナスステージ的な奴だったんだろう。ナインがいたダンジョンにもあったしな。
「よし、それじゃあ行くか。」
俺はナインを連れてさらに下の階層へと歩みを進めるのだった。
次の階層へと歩みを進めた俺たちの前には、ナインがいたあの場所と同じような造りの場所が広がっていた。相変わらず巨大な門がこちらを待ち構えている。
その大きな門をくぐって中へと入ると、その先には巨大な魔法陣が描かれていた。
「あの魔法陣……ナインが出てきたやつと同じだな。」
「はい。ミラ博士が描いたものに間違いありません。」
遠目でそれを眺めていると、背後と扉がバタンと締まり魔法陣が光り始める。
そして魔法陣の中からナインと同じ格好をした人物が現れた。彼女はナインとは違う赤色の瞳を開くと、呟き始めた。
「
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます