第44話 孤憤 3

夫越雖國富兵強,中國之主皆知無益於己也,曰:“非吾所得制也。”今有國者雖地廣人眾,然而人主壅蔽,大臣專權,是國為越也。智不類越,而不智不類其國,不察其類者也。人之所以謂齊亡者,非地與城亡也,呂氏弗制而田氏用之;所以謂晉亡者,亦非地與城亡也,姬氏不制而六卿專之也。今大臣執柄獨斷,而上弗知收,是人主不明也。與死人同病者,不可生也;與亡國同事者,不可存也。今襲跡于齊、晉,欲國安存,不可得也。


 越の国は豊かだし、兵も強かった。ただクソ辺境だから獲得しても旨味はないし、攻め落とすことにメリットがない。

 これと同じように、たとえ国土が広く、ひとが多くても、君主が実情を知らず大臣が好き勝手に振る舞っていれば、君主にとっては自分の国が越の国になっているようなものだ。いや、むしろ統制が効かない国を抱えていると気付けていない以上、もっとたちが悪い。

 この好例が、田氏に簒奪を受けた姜氏斉だ。趙魏韓に国を盗まれた晋だって同じようなものだ。大臣に好き放題振る舞わさせて、君主がその実情を知らずにあるのであれば、それはもう君主の不見識をなじられるよりほかない。

 死人と同じ病にかかってしまえば生き延びられるはずもなく、亡國と同じやら秦王陛下、あなた姜斉や晋と同じやらかしなさってない? 大丈夫?



 前話で盛大にモラトリアムを決めた上で「いやー正論はなー、耳に憚るんだけどなー、そいつ受け入れないと結局ひでー目に遭うんだよなー、参っちゃうよなー」と語るわけですね。まぁはっきり言ってこういうやつ近くにいてほしくないです。正しいとは思いますけど。

 にしても、韓非が秦に来たときのことを思えば、その手前の次代の最小、権力者に目がいきますね。魏冉、范雎あたりでしょうか。たぶん李斯はこのとき宰相にまではなってないよね? 


 あー、あとこの人がいましたね。呂不韋。韓非たんが呂不韋のことを指してるとしたら、うーんご慧眼ー☆ とは書けるのかもしれません。とは言えキングダムとは違って史実だとあっさり排除してるしなぁ。このへんどうなんでしょね。

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