第38話 十過 6

奚謂離內遠遊?昔者田成子遊於海而樂之。號令諸大夫曰:「言歸者死。」顏涿聚曰:「君遊海而樂之,柰臣有圖國者何?君雖樂之,將安得?」田成子曰:「寡人布令曰『言歸者死。』今子犯寡人之令。」援戈將擊之。顏涿聚曰:「昔桀殺關龍逢而紂殺王子比干,今君雖殺臣之身以三之可也。臣言為國,非為身也。」延頸而前曰:「君擊之矣!」君乃釋戈趣駕而歸。至三日,而聞國人有謀不內齊景公者矣。田成子所以遂有齊國者,顏涿聚之力也。故曰:離內遠遊,則危身之道也。


 離內遠遊、朝廷から離れて遠くで遊ぶのがダメ、と言うやつ。田成子、つまり斉の簡公の下で私的に権勢を伸ばし、ついに弑逆をなして傀儡君主を立て、斉の実権をほぼ握った人、田恒の話なのだが、ここで田恒はなぜかしばらく斉を離れて遊びほうけようとしたらしい。いやあなたご自身がどういう立場に置かれてるか理解なさってますのん。

 で、それを「いやあんたアホですか、むかし桀が關龍逢を殺したり、紂が比干を殺したりしてましたが、その辺の後輩になるのも恐れず申し上げますよ、ここでいい加減引き返さなかったらあんた死にますからね」と顏涿聚が言ってきた。それで慌てて戻ってみたら、実際に斉の国内では田恒放逐の動きが間もなく実行されるところだった、と言うのだ。

 あー、うん、ええと、そうね、そのタイミングでわざと外に出るとかアホかよ田恒でしかないし、更に言えば顏涿聚のものいいが明らかに田恒のことを「桀紂と同等の人間」呼ばわりしてるしで、このエピソードって離內遠遊そのものとは別の所に面白さのキモが詰まってそうな感じがあって、こう。なんでことごとくエピソードが微妙に的を射きってないんだろう。ここまでのやつ全部そうだよね? 韓非さんほどの方ならもうちょっと適切なエピソード抽出できそうなもんですけど。

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