第32話 八姦 4

明主之為官職爵祿也,所以進賢材勸有功也。故曰:賢材者處厚祿,任大官;功大者有尊爵,受重賞。官賢者量其能,賦祿者稱其功。是以賢者不誣能以事其主,有功者樂進其業,故事成功立。

 官職や俸禄がなぜあるのかと言えば、優れた人材を引き上げ、功労者を励ますため。賢人には厚く俸禄を与え、大官に任じる。功績の大きい者には爵位を与え、褒賞を与える。任官には才覚を、褒賞には功績をよく検討する。これをきっちり行えば人々が才能を偽ることもなく、功績を君主に報告するのを楽しみとする。こうして事業が為し遂げられる。



今則不然,不課賢不肖,不論有功勞,用諸侯之重,聽左右之謁。父兄大臣上請爵祿於上,而下賣之以收財利,及以樹私黨。

 のだけれど、それが近日は上手くいっていない。人材の才覚もろくに調べようとしないし、功労、功績を詳しく判定することもない。諸侯が重んじているから、周囲が勧めるから、と言った理由で高官につけたりする。結果君主の近親者、あるいは大臣は、君主から与えられた官位を下々に売りつけて私腹を肥やし、私党を組むに至る。



故財利多者買官以為貴,有左右之交者請謁以成重。功勞之臣不論,官職之遷失謬。是以吏偷官而外交,棄事而親財。是以賢者懈怠而不勸,有功者隳而簡其業,此亡國之風也。

 私財の多いものが高い地位を得て、更に私党を引き込み、権勢を強化する。功労ある臣下が認められず、官職の移動はでたらめに。ともなれば官吏の仕事もいい加減になるし、外国と勝手に取引したり、任務よりも蓄財に躍起になる。そうすれば賢者は怠けて働かなくなるし、功労ある者の仕事も適当になる。こうなれば亡国待ったなしである。



 いやー、八姦はあんまりにもどストレートで良いですね。こういう「当たり前のことしか言っていない」章こそがやっぱり重要なんだと思う。ここをもっと読み込んで、自分の行動にどれだけ落とし込めるか。組織を引っ張らなきゃいけない立場の人間としては、まぁやっておかなきゃいけないことなんでしょう。あー早く組織捨てたい。

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