第6話 デート前日の夜

飯を食べて日課のトレーニングをして、風呂に入ったあと、20時過ぎに携帯を見ると真昼からメッセージアプリで連絡が来ていた。


『明日何時集合にする?』


うーん…あんまり早くてもやること無いし、まだバイトすら出来ない身の俺はそんなにお金も無いから昼からのほうがいいかな…


『15時にイーオンでいい?』


……既読は付いてるけど返信来ないな…まずったか?


少し経って、20時半頃に連絡が返ってきた。


『なら午前中は優のうちに行っていい?お昼ごはん作ってあげる!』


うおおおおマジか!あんな可愛い女の子が家に来るとかめっちゃ嬉しいけど家散らかってるんだよな…


『ごめん、気持ちはめちゃくちゃ嬉しいけど家散らかってるんだよ』

『なら片付けに行ってあげる!』

『流石に悪いよそれは』

『いいの、私がしたいんだから。それともユウは私が家に来るのは嫌…?』

『嫌なわけ無いだろ。じゃあ待ってる。』

『うん、おやすみなさい』


あんな可愛い子が通い妻みたいなことしてく

れるとか最高すぎるだろ!

俺はベッドの上でジタバタして枕をボフンボフンしながら興奮を抑えるのに必死だった。


「でも真昼はきちんとした形式ではないけど明確に好意は伝えてくれてるんだよな…。」


俺も男として、真昼に自分の本当の気持ちを伝えなくてはならない。

出会ってまだ日は浅いけど、俺は間違いなく真昼に惹かれている。

このまま宙ぶらりんなままでは真昼に対しては失礼だ。

俺はもう大切な人を失いたくない。

言いそびれるなんて事はしたくない。


朝日あさひにそれを教えてもらったから。


−−−−−−


ユウとのデート楽しみだな〜!

ってそうだ、浮かれすぎて時間決めるの忘れてた…


『明日何時集合にする?』


出来れば朝起こしに行って、そこから朝ごはんの支度して雑談してからデートしたいな〜、なんて考えてたら真逆の返信が来た。


『15時にイーオンでいい?』


え、流石に遅くない…?中学1年だと遅くまでいると補導されるだろうから夜ご飯食べれるかは微妙だし、あんまりいれないよね…?

でもユウは普段小銭しかお金持ち歩いてなかったし、金銭的な事情が厳しいのかもしれない。それなら…


『なら午前中は優のうちに行っていい?お昼ごはん作ってあげる!』


これならユウと一緒にいれるよね!


『ごめん、気持ちはめちゃくちゃ嬉しいけど家散らかってるんだよ』


なら片付けてあげた方がいいかな?もしかしたらやらしいのもあるかもしれないから処分しないと…


『なら片付けに行ってあげる!』

『流石に悪いよそれは』

『いいの、私がしたいんだから。それともユウは私が家に来るのは嫌…?』

『嫌なわけ無いだろ。じゃあ待ってる。』

『うん、おやすみなさい』


やったあ!これでユウとお家デートが出来る、嬉しいなあ♪

…あの日、本当なら最低な男達に私の純血は奪われていたかもしれない。

でもユウが助けてくれて、守るって約束してくれて、友達になってくれた。


でも私は友達じゃ嫌だ。ユウと恋人になりたい。

ずっと一緒にいたい。

あんな人は初めてだった。小学生の時は見て見ぬ振りをする人しかいなかった。

殴られても蹴られても、私を助けるために必死で戦って守ってくれた。


自分でも重い自覚はある。でももう私には彼以外は考えられない。

あんな男の子はもう二度と現れないと思う。

咲夜も言ってたが、確かにイケメンではない。けど、私からすれば最高にカッコいい。素敵な人。


少なくとも嫌われてはいないと思う。抱きつくと顔を真っ赤にしてるから、異性として意識もしてくれてると思う。

でもまだ友達のままという事は、何かが足りないのかもしれない。

それとも、ユウの中で引っかかるものがあるのかも。

こうなったらお泊りだ。ユウは彼女でもない女の子に手を出すような人じゃないのは知ってるし、泊まりで行けば困るかもしれない。

でも間違いなく意識はしてくれると思う。


−−−−−−


「おかあさん、ちょっといい?」

「なに?どうしたの?」

「あのね?ユウの家に泊まってもいい?」

「…あなたはユウ君と恋人なの?」

「まだ違うけど。」

「じゃあ駄目よ、男友達の家に一人なんて襲われても文句言えないわよ?」

「でも、どうしてもユウと恋人になりたいの。私にはユウしかいない」

「真昼、それは依存よ?」

「わかってる!!…でもね、ユウはどれだけ殴られても助けてくれたの。イジメられてた時、何度死のうと思ったかわからない。」

「真昼…」

「あのね、本当のことを言うね?あのユウがここまで初めて送ってくれた日…私レイプされたの。」

「それは本当なの!?」

「うん、でもユウが取り返しのつかない事をされる前に助けてくれたの。」

「……」

「相手は3人もいて沢山殴られて蹴られて酷い目にあったんだよ?それでもユウは私の為に立ち向かってくれたの。だから私はユウがいい。ユウしか考えられない。」

「……」

「あれから初めての事ばっかりだった。前髪を切ったら可愛いって褒められたし、友達も出来たよ?全部ユウのおかげなの。ユウが助けてくれなかったら今の私はいないと思う。」

「…わかったわ。そこまで覚悟があるならもう何も言わない。お母さんも全力で応援する」

「本当!?ありがとう!」

「ただし!避妊だけはしなさいよ」

「わかった!」



おかあさんからのお墨付きも貰えた。

明日からのデートで落としてみせる。

ユウとずっといたいから。

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