台風とあんパン
~テロリスタン式台風~
台風。
どのかの学校では、部屋内のベッドが分解され、物も床に散乱されている状態を意味する。
難しい話を省くが、優秀な幹部の養成のためには必要な訓練である!
第5次テロリスタン戦争中のこと。その台風について、先生は門弟達にこう語った。
「今話したこの『台風』についてだが、とてもこの星で真似できるような方法ではない!
やったら根に持たれて、肝心な時に裏切られて窮地に追いやられた!
とはいえ幹部の養成のためには、これに代わる訓練が必要だ!
この件について諸君らの忌憚のない意見を聞いてみたい!」
「先生、この方法はいかがでしょうか!」
手を挙げて意見があることを主張したドースト。
その後の結果――ドーストの主張が先生によって改良されて採用されるに至る!
それから翌日のこと。幹部候補生達を前に、先生は新たな訓練の導入を発表した!
「本日より違反があった場合、連帯責任で新たな訓練を受けてもらう!
それは朝昼晩のいずれか一食を諸君ら自身で調達することだ!
重い違反の場合は一食の金額に制限をかけ、超えた場合は没収してやり直しを命じる!
最悪の場合は朝昼晩の三食全てにお金をかけることも許さん!」
さらにこの発表の後に、先生は冷酷な表情でこのように続けた!
「なお食べれなったといって成果が出せなかった者は一日耐久鬼ごっこを義務付ける!」
これが食を重んじるテロリスタン先住民にとって、効果的な訓練方法になっていく!
~伝統的な拷問~
第5次テロリスタン戦争末期のこと。苦労の末に北部政権の要人を拉致したガリベン!
先生はその要人を秘密基地に連れ込んで牢屋に放り込むように門弟達に命令!
それから一時間もしない内に先生は門弟達を集めた!
「今日は私の故郷である日本に伝わる伝統的な拷問を伝授する!」
この先生の宣言に「一体どのような……!?」と身構える兄貴。
ドーストは無表情ながらも「楽しみ」と呟き、アイ坊はワクワクしている。
「そういう訳で、今からあんパンを使って敵を拷問する!」
いつの間にか用意したあんパンを片手に宣言する先生に戸惑う門弟達。
堪らず兄貴が「まさか、それで窒息させるとか……?」と先生に問う。
すると先生は「いや、単純に敵に食べさせるだけだ」と否定。
「諸君、拷問ではいかに敵から情報を引き出すか――ではない!
いかに敵の心、すなわち精神を破壊するかだ!」
いつの間にかノートも手にして、拷問の真の目的を門弟達に教えてみせた先生。
そのノートは過去に拷問を受けた敵が残した日記帳。
その直後に「これが最たる成功例だ!」とその中のあるページを門弟達に見せた!
結果――門弟達は全員震えあがった!
歴戦の将兵である兄貴やドーストも例外ではなく、アイ坊は目に涙を浮かべている!
なにしろそのページは恐ろしい内容が記されていたのだ!
下記にその内容を転載しているので、注意して見て欲しい。
(前略)
あんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパンあんパン(後略)
~トラウマによる震え~
ガリベンに拉致された北部政権の要人が牢屋に放り込まれた――その数日後。
「どんな情報が欲しがっているが知らんが、絶対喋らんからな!」
彼は配膳にやって来たアイ坊とドーストにむかって強気に宣言!
そんな宣言にドーストは「分かった、分かった」と相手にしない。
アイ坊も淡々と「はい、あんパン!」とルーチンワークをこなす。
「どころでずっと気になっていたんだが……」
この彼の言葉にドーストが「何だ!?」と反応する。
「ここ数日あんパンしか食べておらん。他の食べ物はないのか?」
この質問を受けたアイ坊とドーストは……。
トラウマを思い出し、「ブルブルブルブルブルブルブルブル!」と震え始めた!
あのノートに書かれていたことである……。しかも最後のページの文字は――赤。
ここまで思い出してしまったアイ坊の目には涙が……。
「おいっ、震えてないで何か答えろ!」
両者の反応に嫌な予感がした彼は、取り乱しながらも二人に向かって声をかけた!
しかし、両者はそれに応えることなく、震えているだけ……。
「お前は泣くなぁ!」と彼がアイ坊に声をかけた時、彼の目にも涙が……。
~終わらない日常~
ガリベンに拉致された北部政権の要人が牢屋に放り込まれて――その数週間後。
彼は毎食あんパンしか配膳されないという拷問に堪え続けていたが……。
「うぐああああっ、夢にもあんパンがああっ!」
悪夢から覚めてベッドから起き上がるあの要人。
ここ数日の目覚めての第一声が毎回これと同じ。既に彼の精神は限界に近い……。
「はぁ、はぁ、夢にまであんパンが……」
そうやって乱れた呼吸を整えようとする彼の牢屋に、アイ坊とドーストが出現!
アイ坊は「はい、あんパン!」とルーチンワーク。
ドーストも彼に向かって「はやく食べろよ!」とここ数日で同じ命令を発した!
以上。これが彼の夢の内容。既にこの終わらない日常が彼にとって悪夢と化していた。
「うぐああああっはああっ、夢にもあんパンがっはああああっ!?」
先の悪夢から覚めてベッドから起き上がるあの要人。
「はぁ、はぁ、夢にまであの流れ作業が……」
今度こそ現実で乱れた呼吸を整えようとする彼の牢屋に、アイ坊とドーストが出現!
アイ坊は「はい、あんパン!」とルーチンワーク。
ドーストも彼に向かって「はやく食べろよ!」とルーチンワーク。
そうやって夢と現実の区別がつかなくなった彼。次の配膳時にその精神は崩壊!
その直後に彼は尋問されて、食パンと引き換えにガリベンに必要な情報を提供!
これが北部政権の最高指導者であるウリヤノフの暗殺作戦に繋がっていく!
なお、先の要人のその後は――どの歴史書にも載っていない……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます