第6話 選択
ヤケクソ気味に放ったそれは、モンスターどもに降り注ぎ、
モンスターは警戒して動きを止めた。
その一瞬の隙をついて———
「今だ……!逃げろ!」
ただ俺たちはひたすらに逃げ続けた。
後ろなど振り向いていられない。ただ、息が切れようとも走り続けた。
背後からガシャガシャと聞こえるモンスター達の足音と骨が擦れる音は
次第に苦痛を帯びた声へ変わり、そして少なくなっていく。
———
「撒けたのか……?」
「ああ、もうすぐ出口だぞ。」
「そうか……! はぁーっ……良かった……!」
溝口は安心し切ったように息を吐いた。
「……今回は俺のミスだ。みんな、本当に申し訳ない。」
出口へとなんとかたどり着き、死屍累々と化した4人に室井は謝罪した。
「……謝らないで下さい。室井先生、俺のせいですよ。」
「そもそも箕島のスキルを見たがった、俺の」
———
「……隣、いいか?」
模擬ダンジョンが終わり、併設された食堂で昼食を食べていると溝口が話しかけてきた。
「ああ」
「……今日はごめん。こんな事になっちまってさ……。」
「気に病む事は無いよ。いい経験だと思ってるし。」
「……あの時、あそこでモンスターから逃げれたのはお前のおかげだ。」
「あんな状況だったら、逃げてもおかしく無い。でもお前はスキルを使った。」
「お前、凄いよ、本当に。」
溝口はポツリと謝罪や賞賛の言葉を溢した。
……意外と悪いやつでは無いのかもしれない。
「箕島くん、ちょっと良いかな。」
俺の中で溝口の株を上がる中、突然背後から声をかけられた。
———鑑定士の
「君のスキル、凄いね。さっきダンジョンの様子を監視したら、大量のモンスターが死んでたよ。」
さっきからずっと褒められてないか?
「……ありがとうございます。」
「ただ……手放しには喜べないかな。」
「……どういうことです?」
「虚侵灯、あるでしょう。ダンジョンにある蛍光灯みたいな奴」
「モンスターを弱体化させるやつですよね?」「そう」
「さっきダンジョンを調査したら、君が潜った階層の部分だけ、全部使い物にならなくなった。」
「……え?」
「虚侵灯だけじゃない、その階層の電子機器は全部パーだ。」
「君みたいなスキル保持者は初めてだよ。“災厄”……だっけ?」
「ええ、そうです。」
「さっき資料という資料をひっくり返して読み漁っても、そんな効果のスキルは出てこなかった。」
「大抵は同じか、似たような奴が出てくるんだけどね。」
「……そうなんですか。」
「だからさ、研究の為に中央ダンジョンセンターに来てくれないかな?」
「それは……いつですか?」「今日が一番望ましい」
「はい!?」
「なんせ見たことがないからね。得体の知れない物を放って置くわけにはいかない。」
「箕島くん!ちょっと来て!」
「
唐突に話を進める笹原を遮るように担任の美杉が現れた。
溝口は置いてけぼりである。
「いや〜美杉先生、彼を中央に——」
「そんなのどうでもいいから!!」
美杉は笹原を遮るかのように俺の手を掴み食堂の外へ連れ出す。
危機迫る勢いだ。
「急にどうしたんですか、美杉先生。」
「箕島くん、落ち着いて聞いてね。」
「……はい?」
「あなたのご両親が亡くなったわ。」
「えっ?」
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