第4話 未踏の地、開拓
僕は必死に掘り進め、自分が一人入れるだけのスペースを、なんとか確保した。
「ふぅ…。危うく太陽に殺されるところだった」
太陽に生かされて、殺される。この世はなんて皮肉な世界なんだ。
取りあえず今後の方針を練ろうと思って、休憩することにした。
「まず今やるべきことは、住居と、そして食糧の確保か…」
住居は、このまま地面を掘っていけばいいだろう。
食糧は…どうしょうか。パッと見だと、この世界には草以外の植物も無ければ、自分以外の動物もいなさそうだ。
「コンビニがほしいなぁ…」
僕は、コンビニ大好き人間だった。だが、ここでそんな寝ぼけたことを言っても、仕方がない。
そう言えば、LANDすけーるではどうやって食糧を集めていたっけか。
「あぁ…そうだ。作り出すしかないのか」
そこかしこに散らばっている宝石を集めて魔法をかけると、好きな物質を作ることができる筈だ。
「やってみよう」
とは言え、宝石がどこにあるのかわからない。
住居作りのついでに、探すか。
「まるで、もぐらみたいだな」
足と手を駆使して周囲の土を消し飛ばし、地下に巨大空間を作る。
「なんか…この感じ、懐かしいな」
そう、それは幼い頃の出来事。
***
僕は砂場遊びが好きだった。
今の僕からは、全く想像も付かないけれど。
ある日のことだ。落とし穴を作ってみたい、と思い立ったのだ。
思ったらすぐ、走って公園へ行った。
マイシャベルで掘る。とにかく掘る。
何時間、そこにいたかわからない。自分が中に入れるくらいの大きな穴を、初めて作ったのだ。
そろそろ掘る作業を止めて、次の仕事に取りかかろうかと考えた頃。
ザクッ。
シャベルが地面に刺さらなくなった。岩にでもぶつかったか、と思った。
しかし土の下から現れたのは、ブルーシートだった。
「事件の臭いがするぜ!」
子供ならではの好奇心に駆られて、探偵ごっこなんかもしたなぁ。
だけど、結局期待していたような物は一つも出てこなかった。
今思えば、掘り過ぎて砂場の最下層に到達してしまっただけなんだろうな。
それから再び、落とし穴作りに勤しんだ。
掘った穴に蓋をするように、天井部分を作った。水を含ませて粘度を変えた土や、さらさらの砂なんかも混ぜて。
楽しかった。
だけど…失敗に終わった。
天井を固めることに苦戦し、穴を隠すことが出来なくなってしまったのだ。
所詮、子供の悪戯なんてこんなもんだ。
***
思い出に浸っていた頃、目の端に光る物を見つけた。
「何だ…これ?」
近寄ってみるとそれは、色鮮やかに輝く、宝石だった。
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