第4話
日曜の夕方、前述の秋葉原観光から帰ったばかりの部屋の中で、今日の観光には大した収穫がなかったな、と思った。本もグッズも、自分が欲しいと思うレベルのものであれば大抵ネットショッピングでも買える。ただ一つだけ収穫と思えるものがあった。それは、「人の話に何の考えもなくホイホイついていくものではない」という教訓だった。
そう考えているうちに、「自分から何かを欲さなければならない」と今さらながら思ったが、しかし「求めよう」などと思った時点で今の自分には、普通の大学生が求めて得ようと、場合によっては必死に努力してまで得ようというものが、全て揃っているじゃないか。
バイト、サークル、友人関係、彼女。それに部屋の中には、趣味のラノベの冊数が急激に増加してきて散らかる。
でも何かが足りていない。足りていないはずはないのに。というよりは、余りにも足りすぎているという環境が却って僕の心を不自由なほどに圧迫しているような錯覚に陥っていたのかもしれない。
とにかく、何か強烈に求めたいと思うような「何か」が欲しい。そう思って僕はその「何か」になり得るものがないものかと探し回るようになった。
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