第89話 現像 その3 フィルム巻き上げ

「じゃぁ皆さん少しずつ交代で巻き上げてもらって、硬くなった瞬間に、代わってあげて感覚を覚えてくださいね。

鈴木さんはまぁ今回はちょっと触らせてもらうだけにしておいてください。何となく感覚わかるでしょ?」


「問題ないですよ先生、あの感覚は覚えています。

フィルム感光したらヤバいとおもってメッチャ巻きまくりましたけど」



優紀さんが恐る恐るフィルムを巻きだした。

「ほほぅ…巻き出しの感覚はこんな感じかぁ~千佳ちゃん巻いてみぃ」

「結構抵抗力っていうのかな?手ごたえがあるんですね~、どうぞ優紀さん、ギリギリまで巻き上げてください」

「オッケ~!焦らずゆっくりね!」


小夜は先ほどからゆっくりと巻き続けていたので声をかける。

「小夜は大丈夫?なんとなく巻くときの感覚わかった?由香さん!ほっといたらこの子全部巻いちゃうからね。ほらカメラ渡しなよ」

「ほいほい!!なんだか巻き上げてると楽しくてワクワクしてついね…由香さんどうぞ!面白いですよ」

「あぁホントなんだかワクワクしますね!!でもこれをしくじると撮ったのが全部だめになったりしないよね?ちょっと怖いですね」


「大丈夫ですよ、フィルムがパトローネに入っちゃうだけなんで、感光して全部が駄目になることはないですし、巻ききっても出せますよ。道具もあるんだって。心配せずに巻いていいそうです」



「あッ!!急に固くなったよ!!コレかな?千佳ちゃんちょっと触ってみて?」

「ホント硬くなってる!」

「そのまま少し力入れて巻いてみて」

「まだ硬いままです、ちょっと力入れますね」

ググッと少しだけ巻き上げる。

「これもうちょっと力入れたらスコンといくんですよね?」

「千佳ちゃん最後は頼んだ!!いっぱい巻き取らせてもらったし、とどめの介錯はそなたに頼んだ!」

さらにググっと力を入れるとスカッと空を切るような感覚が手に伝わる。


「あぁフィルムが抜けました!この感覚なんですね!」

「ちょっと触らせて」

4分の1ほど優紀は巻きあげ手を止める。

「なるほど!すっごく軽くなってる。

先生この状態で蓋開けても問題ないんですよね?」


どうぞ開けてくださいねと促され、クランクを引っ張り上げると、パカっとカバーが開く。


そこにはベロがギリギリでた状態だった。

感覚を覚えるに巻き上げたからだがベロが出た状態で良かった!


小夜と由香さんチームも問題なくフィルムを巻き上げこちらにパトローネを見せてくれた!


あれ?私に少し触らせてくれるって話は何処にいったのかな?

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