第21話 写真 その2

化粧室の鏡でとりあえず落ち着いてから顔のチェック。

目が赤い…、出ていきたくないけど写真が見たい!!


気持ちを入れ直しサッとカウンターに戻ると店長さんはニコニコと仕上げた写真を出してくれた。


束になった一番上の写真は祖父が運転しているときの写真だった。

フィルムを入れて初めて撮った記念すべき一枚だ。


他にも見ようと思ったが、店長さんがトランプでもするかのように写真をササっと扇状に広げて確認をしてください、と見せてくれた。


じっくり見たいので後で、あそこの机で見ても良いかと確認を取るとゆっくり見ていてくださいと言ってくれた。


ササっと見たところ、ピンボケしている写真もなさそうだ。


そしてお会計が

35mmネガカラーフィルムの現像780円

L版でプリントアウト24枚x一枚あたり55円

現像と同時にデータ化(約150万画素)のちCD-Rに保存 インデックスプリント付 450円


合計2550円だった、祖父から3000円貰っていたから問題なく支払うことができたが、毎回この金額は由々しき事態だね。


写真を受け取り、昨日フィルムを出すときに使ったテーブルに向かう。


私の家ってお小遣い制じゃないんだよね~。

欲しい時に親に言って貰うスタイルだから、今後フィルムで写真撮るのって考えるだけで恐ろしい…。


プリントアウトせずに、現像とデータ化して約1000円か…、まだ何とかなるね…。


高校生になるこの機会にお小遣い制導入かバイトをしてみるか、じゃあ写真撮る時間が減っちゃうよね、でも現像代が…。


そんな事を思いながらも椅子に座り、手元にある写真を封筒から出して、束になった写真を1枚ずつ上から机に並べていく。


おじいちゃんの運転姿、背景がボケていて祖父にだけピントが合ってる。

残念なのはピントが祖父の肩辺りで顔が少しぼやけていた。


2枚目も祖父、これは顔にキチンとピントが合っていて、車内に入り込んだ風で後ろ髪がゆらりとしていて、若干逆光気味なのだが、横の窓から差し込む光と背景の山の緑が淡い空気を映写しだしている。


なんだか凄い!カメラってこんなに綺麗に撮ることができるんだ…おじいちゃんが別人だ。

スマホのカメラじゃこんなの撮れないね。

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