第19話 現像に出そう
帰り道にカメラ屋さんに寄って現像に出してから帰ることになった。
カメラをそのままレジカウンターに持っていって店員さんに渡そうとしたら家族全員で突っ込まれてしまった!!
そうか、フィルム出さないと駄目なのね。
祖父と顔なじみのお店の人は店長さんで、カウンターだと作業しにくいだろうからと、机とテーブルのある席を案内してくれた。
横にはPCが置いてあり、スマホのデータを読み込むこちらの方が馴染み深い。
そういえば最近写真データ現像することも少なくなったな〜と思いながらフィルムを取り出すために机にカメラを置く。
「カメラの裏面にな、『巻きもどしボタン』ってのがあるんよ。で、ここを『ぽちっとな!!』って言いながら押すんやで!そしたらカメラを戻して、シャッターボタンの反対側、フィルム入れたときに引っ張ったところに巻き戻しクランクあったやろ…………」
ふんふん……またしょうもない事言ってるわ、と聞き流しながら祖父の言う通りカメラの裏面を向け、ボタン確認し無言で押す。
カメラを正面にむけ、フィルム入れた時に……ん?…あぁ…アレだ引っ張ったやつね〜。
あったあったとクランクじゃなく『裏ぶた開閉ノブ』をつまみ上げようとしたその瞬間!!
「「「あかん!!」」」
祖父と店長さんとパパがでっかい声で静止する!!
びっくりして固まった私をみて、全員が深いため息を漏らした…。
これは何かやらかしたかもね…。
ってか店長さん見てたのね…。
フィルム入れた時って言ったから、あぁ~あれね~と軽い気持ちで蓋を開けようとしたらメッチャ止められたよね、蓋開けちゃまずかったのかな?
どうやら撮った写真をダメにするところだったらしい。
蓋開けなくてよかった…。開けてしまうと、フィルムがダメになるそうで、一番気を付けないといけないところだったみたい。
開けてしまうと、最後に撮った写真など数枚はダメになる確率が高く、蓋を開けたままにしていると感光していくんだって。
サッと閉じるとまだマシらしい。
右側にグルグル巻き取られているフィルムは意外と助かることもあるんだとか…。
祖父はクランクって言ったけど、引っ張ったって言った方に意識が言っていたのね、ぽちっとな!なんてこと言うから聞き流されるんだよ!!
あらためてクランクをピコっと起こしてあげて、クルクル反時計回りに回してやる。
この時フィルムシグナルも、戻されるにしたがって右から左に動くのを確認するように言われた。
クルクルしていると急にスコッっと感覚がなくなった、最初にはめ込んだフィルムが外れたんだね。
フィルムシグナルを見るとゲージが見えなくなっていたので完全に巻き取れている、フィルムがパトローネの中に納まった証拠だそうだ。
クルクルしてるのってすごく楽しい!
なんだろうね?ドキドキと楽しいのが混在してるよ!
これでようやくフィルムじゃなくってパトローネを出すことができる。
先ほどメッチャ止められたから、全員の顔を見て様子をうかがう。
皆ニコニコうなずいたりしてくれたので問題なさそう。
クランクを元に戻して、開閉ノブをつまみ上げる。
パトローネを取り出して、明日取りに来ますので現像よろしくお願いしますと店長さんに渡す。
しっかり現像させてもらいますよ!!とメッチャ笑顔で受け取ってくれた。
写真が撮れているかどうかのこの感覚が明日まで続くのかと思うと、夜寝れるか不安になる美幸であった。
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