初めての撮影
第10話 撮影に行こう!
さてどこに行くのかって前に私たちが居る場所ね。
祖父や私たち家族が住むのは近畿にある和歌山県。
和歌山の印象って本州最南端の場所があって温泉と海とみかん、あとはパンダ。
思っているより和歌山県は大きいし縦に長い、話題になるのは南の地域が多いんだよね。
祖父は海南市、私は和歌山市という所で紀北地域になる。大阪の岬町や泉南市などとは山を一つ越えなければいけないため、残念なことにまぁまぁの田舎なんだけど良いところだよ。
そんな祖父の家がある海南市から車で約30分で目的地に着くそうだ。
「今からなぁ~貴志川線のニタマ駅長見に行こうかと思ってな」
支度をした祖父が、ガレージから車を出してきた。
独特のエンジン音が聞こえる。
ボンネットにミラーが付いてあってヘッドライトが格納されていて、夜になるとパカッと開く今じゃ見かけない変わった黄色い車。
ガレージから出てきた車の後部座席にはちゃっかり両親が乗り込んでいた。
メッチャ狭そうだが密着していてパパは楽しそうだ。
今から向かうのは、日本の民営鉄道初の猫駅長『たま』がいるのが『わかやま電鉄貴志川線』。
地元じゃ有名だから知っているけれど、全国的には2007年頃、散々ニュースで『たま駅長』が取り上げられたりしたから記憶に残っている方も多いんじゃないかな?
映画などにもなり世界的な猫ブーム巻き起こした『たま駅長』は、残念ながら光の電車に乗車し旅立ってしまったが、そのの跡を立派に継ぎ、『執行役員ウルトラ駅長ニタマ』は現在『社長代理』に就任している。
そんな『たま駅長』に会いに行くのだとか。
そういえば私、貴志駅って行った事が無いなぁ。
助手席に座り、祖父から貰ったカメラを手に持ちファインダーを覗きながら景色を見る。
「あれ?おじいちゃん、これ壊れてるよ。ちゃんと見えないもん全部ボケてるよ。」
そう言いながら先ほどフィルムを入れたminoltaXDのファインダーから目を離し、カメラを正面向けレンズを確認してみる。
レンズにはMD W.ROKKOR49mm f1.7と書いてある。レンズは傷一つなく透き通っていて綺麗だけれどどうしてボケているのか解らなかった。
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