第16話 幕間


男は髪を指先でくるくると弄りながら、軽い溜息をついて資料を置いた


ちょっと面倒だなぁ


ぽつりと零した


先日のトンネルの対峙


全力では無かったが、それは驕りではなく、石持ちと一般人相手には充分だと思った力加減だった


交戦情報が事前に知っていた情報よりも多かったのか、それとも、、、


それにもう1人の彼も使いだしたら少しまた面倒になるな


それに、素性が不透明である事も引っかかっる


純粋に天文学的な運の悪さで巻き込まれたただの人間なのか


若しくは、、



はあ、考えても仕方ない

調査結果が進まないと、自分が今気にしたとして


------------



俺も、石を使って戦力にならないと


命さんが後少しでも力負けしていたら、確実にあの時炎に取り囲まれ死んでいた


そう考えると、今思い出しても嫌な汗が出る


乗りかかった船とは違う、巻き込まれただけ


しかも面倒事なんて日常の範囲の理をぶっ飛ばした超常現象、デスゲーム要素満点


逃げたい、自分には関係無い


その気持ちでいっぱいになると思う普通


勿論そう思うけど


何故だろうか、自分も当事者の意識を持ってしまっているのは


余りの出来事に、何かが麻痺しておかしくなってしまってるのだろうか


そのこたえは分からない


けれど、シンプルに分かる事


見ず知らずの子だけど、目の前にいる女の子が命を狙われている


放っておけない


難しい事を削いでいくとそれだけだった


充分かな、それで理由は


頭の中だけでも整理して、理解出来ない事に対しても切り替えていかないとついていけないし、何も出来ない


これからもこの戦いが終わるまで、常識の外側でいなきゃいけない


まずそこから始めなければ



隣にいる


チーズハンバーグを頬張る彼女を見て


状況と現実のシュールでコミカルなギャップに乾いた笑いが出そうになった




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る