第11話 炎と氷

「石の力?」


開口一番ホスト風の男に僕は訊ねた


訳が分からないことだらけ


複雑に考えても仕方ない


とりあえず、この現象がなにか


答えてくれるとは思わないけど


知る限りと状況的に、相手も持っていて使われたと考える



「石?あー、、ははっ、それ無くても大丈夫なんだよ俺」




無くても大丈夫



意味がわからなかった



横目で命さんを見ると青ざめていた


「忌術師、、?」


絶望の色がついたような声を零した


それって、、石に力を無しでも使えるやつらで



え、、



大昔の話じゃないの?



「あったりー」


ウインクしながら人差し指をこちらへ向ける男


「現代でまさか力を使える奴がまんま居るとは思わなかったでしょ?」


ご機嫌に話す男


「末裔なんて、血が薄いから力はない。普通はね。たまたま俺は超隔世遺伝みたいな感じで血が濃く、修行したら使えるようになっちゃったんだよね」



何を言ってるか理解出来ないが、とりあえず、こいつは石がなくても力が、術が使える


物理法則を全く無視した超常現象を起こせる



そして今それをくらってる真っ只中



ピンチということだけは充分に理解した



目的はなんだ


力があるなら、石なんていらないはずだ


なんで命さんを狙う必要があるんだ


「生業なんもんでね。石っころとはいえ、ほぼ同等の事が出来るもんが残って、出回ってるってなると、商売の邪魔でね。同じ一族ならまだしも、違うとこの家柄だと、現代でもまだ造れる方法が伝えで残っててあるかもしれないし、根から潰さないといけなくてね」


エスパーよろしくご丁寧に説明しだした男



説明は有難いけど根から潰さないで


平和的解決のために口がついてるんだろうが、話し合いがあるだろ、人類には


話し合いって選択は浮かばねーのかこいつ


とりあえず逃げる為になんとか止めるか、話し合いなんて過ぎったけど、全く無駄そうで更に焦りがうまれた


どう切り抜けるんだこれ



「あはは、無理無理」


またもエスパーよろしく


なんなんだよこいつ本当に


笑うように言うが声は底冷えするような声だった


それと共に、男の右手と口が僅かに動いた


何を言ってるか聞こえはしなかった




「忌術、焔の忌(ほむらのき)」




ポケットから出したのかライターを手にして、それを着火した男



男の動きに注視するあまり完全に脳が働いてなかった


「汝、禁忌の脅威から護り給え!」


突然大声を出し、引っ張られた


血のにじむ石を掲げる命さん


刹那僕らの周りに突然炎が現れ、破裂音が聞こえ、意志を持つかのように迫った


同時に2人の体の周りから物凄い冷気が生まれ、炎へぶつかった




「なんだ、、、これ」



目の前に凄まじいサイズの赤みをうっすら帯びた氷の壁が出来た


一瞬にして


そしてその氷の中で炎が燃えている



意味が分からない



「CG、、」


「んなわけないでしょ!車!」


男と僕らの間には大きな氷の壁がある


そして命さんは男の攻撃を無力化した


逃げれるのか


頷くのも惜しく、急いで言われた瞬間に車に乗り込み全力で逆走した



願った、出口があることを



一瞬で氷の壁と距離が出来たものの、けたたましい音と共に氷は消え去り、炎が再びこちらへ向かってきた


冷や汗が出る



アクセルを全力で踏む



どんなスピードだよ


炎は追いついてくる



前方に眩い光が見えた、そのまま突っ切る







トンネルの外へと出た



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