第10話 chapter2 禁忌相見える

とにかく、件のホテルへ向かわないと


しかし最中はどう行けばいいのだろう






なんちゃらを隠すなら森の中、人を隠すなら街の中宜しくで、人がいる場所に紛れながらか?

相手は見つけたらお構い無しに何をしてくるか分からない

一般人が巻き込まれてしまったら、、


しまったら、、とういうか僕もう巻きこれてるから


また、一般人が巻き込まれてしまったらだ



ならちょっと山沿いや海沿いの寂れたところまで迂回しながら行くか?


人が少ない分見つかるリスクは高まる


何がベストなんだ



「ゆっちゃうと、相手の力が上だったら結局何処にいてもそれは関係ないと思う」


後手に回らざるを得ない要領の解答が助手席から返ってきた


とりあえず、先手を打つこと、その案が出るまでは逃げるしかない、距離を取り続けるしかない


最悪、ホテルがダメだったら県を跨ぐことを視野に入れ、隣の市へ抜ける続くトンネルに入った


少しばかり山道を経由して、ホテルのある市街へ入ろう






おかしい



出口が一向に見えない


そして、静かすぎる


このトンネルに僕達を乗せた車しか走っていないような


そしてやたらと空気が重い


「命さん、何が起きてるんだこれ」


「出口、無いの?」


「ああ、とっくに出てるはずなんだ、まさか」


「もう、破られちゃったのかぁ。しかも罠に嵌められちゃったね、これ」


冷や汗が出た


罠って


人為的に出来るものじゃない



「まさかさ」


継ぐ前に言われてしまった


「向こうにも、どちらか居るね。本物か、石持ちが。前者だったらちょっとまずいかもあたし達」


本物、、石がなくても訳の分からん物理や質量法則を無視した事を成し得るなんとか師ってやつか


大体お決まりだ、仮に同じ技を使うとしても、直接技を使えるやつと、代用するものを経由して使う


本家の威力の方が強い



「想定したくないけど、閉じ込められるってとこだと空間とかそうゆうのに何か干渉したものをこのトンネルにかけられてるの?」


「多分ね。若しくは、トンネル事違う場所に移されてるか」


「手は?」


「ダメ。脅威の排除はもう使ってるし、空間干渉はこの石の力のキャパなのか向こうの力なのか分からないけれど排除出来ない」


永遠にこの中走るって


勘弁してよ


などと思った瞬間


前方にライトに人影のようなモノが映った


普通ならば急停止するとこだろう、交通事故だ


けれど、居るわけがない


居るとすれば敵しか


「捕まって!」


人生で始めて人をはねる決断を一瞬でした



スピードを、上げた


その瞬間、上げたはずのスピードがみるみる減速した


「っく!」


ハンドルも全くきかない


無理やり逆走する事もならず、減速した車は停まった



トンネルに響く声


「いらっしゃい」


目の前にライトで姿がハッキリと見えた


同じくらいの歳だろうか


パッと見ホスト風のスーツ姿の金髪の男が立っている


「どうしたもんかね」


「車を、捨てるとか走って逃げるとか、無駄だと思う。ここで何とかするしか」

そう言うと、命さんは男を睨みつけていた


「怖い顔しなさんなよー姫。まあ降りてきなよ、その中にいても無駄だよ」


姫、用語までホストみたいな事言うな


そんな事考える場合じゃないけど、策が何も無さすぎてくだらない事がよぎってしまった


命さんは無言で車を降りる


躊躇いなしに


僕も諦めて降りる


とうとうこんな至近距離で対峙してしまった




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