第7話 探索
結局平和なまま1週間余り過ぎた
連中諦めてんじゃないか
そんなことが過った
「石の力で見つかってないだけよ」
命さんは不意に言った
「探してるのは間違いないから。まあこの街にたどり着いてるかは知らないけど、、多分たどり着いてないとは思うけど。仮にそうだとしても、今使ってる力があるから早々簡単に分からないよー」
ナチュラルに、両手放しで平和ってわけじゃなかったんだ
にしても、だからと言っていつまでこうしてるのか
僕の表情から読み取ったのか命は説明する口振りでそれに答えた
「すくなからず、接近してきてるのが分かるまで下手にこっちから仕掛けない方が良いよー」
まあ、ごもっともだけど
願わくば諦めて遠くにいってほしいもんだ
「まあ、何かあればすぐに分かるし、今不安や懸念はいらないよー。のんびりしてよー」
他人事のような、余裕さを感じる発言
いや、僕が心配して当の本人がそれでいいのだろうか
「あ、創君ハンバーグ好き?夕飯はあたしハンバーグつくろうと思って」
どんだけ平和なんだ
というより、これ今ただ、学生の年齢の子と同居してるだけって絵面に完全になってないか
僕はひたすら事案を懸念した
身の危険は、やつらより、そっちの方が余程心配だった
「そういえば、学校とか、いいの?」
ふと聞いてみる
どちらにせよ18歳にもなってない
しかし、学生かどうかで更に僕の不安や懸念は変わるもんだ
「大丈夫、休学中。」
だいじょばなかった
高校生を住まわせてる
事案という言葉が駆け巡る
何一つやましい事はない
しかしこのご時世だ
僕には今それが一番頭を悩ませる内容だった
ハンバーグは美味しかった
良かったーと無邪気に笑う命
人の気もしらないで
怒る気持ちとか、そんなんは全くないけど
その笑顔に緊張感が抜ける
とは言っても、持ってる石が
非現実に、身を置いてることをやはりひしひしと感じさせてくるのだけれども
「まあまあ、ずっと神経張りつめてたらもたないよ?」
石の力使ったのか、彼女の勘なり僕の顔に書いてあったのか
唐突に言われた
「とにかく、今は大丈夫だからさー。創君。こんな可愛い女子高生とお仕事休みで、同じ屋根の下で過ごせている事に少しはリアクションするのが優先じゃないのかなー」
訳の分からんことを
リアクションって、仮に安全が本当だとして(命さんの様子からして本当に大丈夫なんだろうけど)
事案の不安しかないよ
こうして、また一日が経ち間もなく2週間が経とうとしていた
仕事場からの連絡は
相も変わらずあの場所の件は方がついておらず調査中でまだ延びるとの事
特に人がどうこうって話は無かったから
あの人影も、命さんの事もバレてない
老朽化にしては不可思議な現象だけど、やはり老朽化で不自然ではあるがその方向で処理を進め、壊す前に倒壊したら事故になるとのことで耐震が今どれくらい大丈夫かなど、もう一度確認してから安全に工事出来るよう、色々と見直してるようでまだ時間がかかるそうだ
それもまたしっかりと期間中のお金は発生するようで、丁度この現場の予定しか請けていないので僕は特に他にやることも無く、引き続き給与はちゃんと休んでても出るからのんびりするなり、遊んでこいと親方は言う
とても遊びになんて行けないけど
まあ、生活に支障も無いし、それは良かったと思い、目処が立ったらまたその旨進捗を連絡するからなーと話は終わった
おまけで、下見の作業中に事故が起きて危うく大怪我する事になりかねなかったからと、元請けさんから、怪我をしてないとは言えと、どういう名目か分からないけれど別途またお金が今月上乗せで支給される事になった
暗に口外するなよ、という意味も暗黙の了解なんだなと思った
住人が1人増えたので、生活費には有難いことだ
有難いと、、、100パー手放しで喜べるわけでもないけれど
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