あの日写真を撮られた事を俺はまだ知らない
泣き崩れていた幼馴染を連れて、教室を後にする。
教室のクラスメイト達からすごい白い目で見られていたけど気にしない。
そのまま、最上階の音楽室に連れ戻った。
音楽室では三上さんが一人、俺の声が入ったボイスレコーダーを聞きながら、ニヤニヤして待っていた。
「ただいまー」
「ひなたくん、おかえり♡」
「むぅ……ゆかちゃんは帰ってくれても良かったのに……」
「うふふ、ひなたくんが帰って来るって言ってくれたから」
取り敢えずは一件落着なのか……?
「それはそうと、彩」
「うん?」
「……その写真、一体なに?」
教室で俺の写真を枕にしていた
そもそもそういう写真がある事に驚きだ。
「ん…………ひなたのえっち」
「違うだろう! そもそも俺の写真だし!」
「私の胸を揉んでいる写真がそんなに見たいの?」
「違うぅうううう! そういう意味じゃなくて、何故そんな写真がある事を聞いてるんだろう!!」
「えっ? ん~、ひなたの成長日記用に残してるんだよ?」
俺の…………成長日記!?
なんだそれは!?
少し怖い目になった彩はカバンから一冊のノートを乗り出した。
綺麗な見た目のノートは、女子高生らしさを
でもよくよく見ると、タイトルが「ひなたの成長日記①」って書いてある。
「本物の成長日記なのかよ!!」
「そうだよ?」
だから、なんで、当たり前でしょう? 的な表情なんだよ!?
興味を持った三上さんに催促され、成長日記が開かれた。
年月日が丁寧に書かれていて、彩の可愛らしい字で当時の出来事などが書かれていた。
俺が遊具から転げ落ちて泣いている時の写真。
彩と一緒にお遣いに行ってる時の写真。
エアガンでカッコいいポーズを決めながら的を撃っている時の写真。
――――彩と一緒に風呂に入っていた幼い頃の写真。
「って! どれもいつの間に撮ったんだよ!? そもそも有り得ないだろう! 彩も一緒に写ってるけど、絶妙に避けているし、撮られている事に一度も気づかなかったんだけどぉおおお!!」
俺の悲痛な叫びも空しく、彩と三上さんは俺の幼い頃の話に花を咲かせていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます