ヤンデレ美少女の想いは重すぎる事を学んだ

「うふふ、あやちゃん、今日は早かったね」


「抜け駆けなんてさせないんだからっ!」


「ふふっ、もう大丈夫。ひなたくんは貧乳が好きなんだから」


「っ!? そ、そんな事ないもん! ひなたは巨乳が好きなんだもん! 幼い頃は――――」



「だ――――っ! 音楽室でどんな話をしてるんだよ!」


 幼馴染と美少女の会話じゃないでしょ!


 それに俺は…………。


「ひなたくんが叫んだのを私はちゃんと聞いているよ。なんなら、録音してるから流そうか?」


 は?


 録音!?!?


「み、三上さん!? 録音ってどういうこと!?」


 三上さんはカバンからボイスレコーダーを一つ取り出した。


 女子高生のカバンから出てくる物じゃないだろう!?


 口の両端がつり上がった三上さんは、ボイスレコーダーの再生ボタンを押した。






「俺は貧乳が好きなんだよぉおおおお!!!!」






 ボイスレコーダーからは、まさしく自分の声が流れた。


「なんでそれが録音されてるんだよ!?!?」


「ひ、ひなた……ほ、本当だったのね? ……………………こんな巨乳でごめんなさい」


 彩がボロボロ涙を流しながら音楽室から飛び出た。


「あっ! 彩!!」


 追いかけようとしたところに、三上さんが腕に絡む。











「ひなたくん。私はひなたくんが大好きで、貧乳で、君の為ならなんでもするわ、触りたいなら幾らでも揉んでくれてもいいのよ? だからすっと私だけを見て? ほら、ひなたくんの色んな声や音を沢山録音してるからね? 私の愛は――――」




 いやいやいやいや!


 めちゃくちゃ重いから!


「って! ボイスレコーダーいくつあるんだよ!? それと胸なんて揉まないから! それに三上さんの事はちゃんと友人だと思ってるから! でも、彩も俺には大切な友人だから! 早く行かないと、あいつ何をしでかすか分からないんだよ!」


「ふふっ、じゃあ、ちゃんと帰ってくる?」


「も、もちろん帰ってくるよ」


 そもそも音楽室閉めないといけないし。


「分かった。行ってらっしゃい。私はずっとここで待ってるから」


 三上さんが腕を離してくれたので、全力ダッシュで彩を追いかけた。




「あぁ……ひなたくん…………♡」


 後ろから三上さんの艶かしい声が聞こえた気がした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る