クラス一の美女は貧乳で…………ヤンデレです?

「ひなたくん……貧乳が好きなの?」


「え?」


 その日、部活の音楽部が終わり、音楽室でピアノの練習をしつつ、休憩がてら、音楽室のベランダ兼屋上に出た。


 そして、あの巨乳を押し付けられ、嫌みを言われる毎日にうんざりた俺は屋上から叫んでしまった。


 俺は貧乳が大好きなんだよ――――って。


「って!? 何で三上みかみさんがここに!?」


「えっ!? そ、そんな事はいいでしょう! それより、今、貧乳が好きって叫んだよね?」


 ものすごい食いつきのクラスで一番の美女の三上みかみ由香ゆかさん。


 綺麗なストレートに整った顔立ち、身長も俺の理想の157cmくらいとスラっとした体形。


 そして、何よりも目立つのは――――。


 貧乳・・である!



「ひなたくん? 今、私の胸…………見たよね?」


「えっ!? い、いやいや! み、見てないよ!!」


「絶対見たよ!」


「見てないよ!」


「貧乳好きって言った!」


「い、いっ、いっ――――」


 言える訳ねぇだろう!! どっちも!


 貧乳好きだって言えるはずもないし! 好きじゃないよなんて、もっと言いたくないよ!


 その時。


 音楽室の扉がガラッと開いた。


「ひなた~! 迎えに来…………えっ? ゆかちゃん?」


「彩!?」


「あやちゃん! えへへ」


 笑顔の三上さんと、笑顔の彩。


 でも目が笑ってないよ!?


「ひなた? そろそろ帰ろう?」


「ひたなくん? さっき言った事、ちゃんと聞きたいな?」


「いやいや! 何も言ってないから!」


「ひなた? 何の話?」


「えっ!? 何でもねぇよ!」


「私、ちゃんと聞いたからね? ちゃんとひなたくんが――――」


「う、うわあああああ! 言うなぁああああ!」






「貧乳大好きって!」


 二人の瞳から光がなくなっていた。

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