七 特別な最後

 朝に日記を書くというのは新鮮でいつもと感覚が異なる。

 新鮮だと感じるほどに習慣化していることに驚いている自分もいる。


 今日の彼女は何者でもなかった。

 起きてからずっとベッドの上でボーっと座っている。


 僕はそれがすぐに本当の彼女の姿だと理解できた。

 どこを見つめているのか、何を考えているのか一切分からないうつろな表情。


 心配にならないと言えばうそになるが、何もしようとしない彼女を無理やり何かさせようという気は起きない。


 そんな彼女だが、先ほどぽつりと「海に行きたい」とつぶやいていた。

 今日はまた買い物にでも一緒に行こうかと思っていたが、僕は彼女の願いを叶えたいと思う。


 今日くらい少し特別な、いつもと違う日を過ごしてもいいのではないだろうか。

 だから僕は彼女と一緒に海に行こうと思う。

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