六 未来

 ここ数日は外に行くことが多かった。 

 だから今日はあえて家でのんびりしようと提案してみた。


 というのも今日の彼女は『無気力OL、ひた走れ』に出ていた女性だったからだ。

 彼女は基本的にやる気がない。

 仕事はそつなくこなすが、それ以外はめっきり何もしようとしない。必要最低限のエネルギーしか使わない、そんな女性だ。


 だらだらとしている彼女を見てゲームをしようと言ってみたが、僕は元来ゲームをたくさん持っているような人間ではない。


 だからたまたま持っていたのがテトリスだったというだけで、頭を使うゲームを意図して選んだとかそういういやがらせ目的では断じてないのだ。


 でも案外彼女は負けず嫌いだったのか、僕に負けるたびに再戦を挑んできた。

 僕も手を抜くつもりはなかったから、最後まで負けることはなかったがそれでもドラマでは見れなかった彼女の一面が顔を見せたし、彼女自身文句は言いながらも本気で怒っているような様子はなかったから、よかったと思う。


 この幻のような、現実味のない当たり前を目指した生活も明日で終わりだ。

 最終日、どんなことをするのが正解なのか。僕にはわからない。

 でも彼女が望む何でもない、当たり前な生活を最後まで続けようと思う。


 それが終わったら、僕は……何をしようか。

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