五 本物
今日は自分でも驚くほどに体が軽かった。
久しぶりにゆっくりと眠ったからだろうか。
実をいうと彼女が家に来る前から不眠は続いていた。
昨日あんなに熟睡したのは実に久しぶりのことだった。
だから今日あんなに公園ではしゃぐことができたのだろうか。
今日の彼女は『熱血講師』に出ていた塾講師でありながら、親に強制されて塾に通っている子供たちを厚生させていく、いわゆる熱血系の女性だった。
熱血と言いながらも本来の彼女は底抜けに明るく、だからこそ公園に行こうと、たまにはのんびりしてもいいのではないかと提案してみた。
まあここ数日はのんびりしっぱなしな気もするが、些細なことだ。
そういえば昨日のお礼もかねて少し朝ご飯を気合を入れて作ったら、ずいぶんと喜んでもらえた。
そんな何気ないことをうれしいと感じる。そんな感覚も久しぶりだった。
最終的には公園でのんびりするはずが、子供たちと一緒になって遊ぶことになった。
今はその疲れからか彼女は隣で熟睡している。
子供たちと遊んでいる時の彼女は確かにその役を演じているのかもしれないが、でもその時の楽し気な彼女の表情は間違いなく本物だと、そう思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます