再びSEASON1

第12話 新たに解放された狂人を加えてイチャイチャしながらこれからどうするか考えよう的なおはなし



<部活動紹介後の放課後>


-部室-


 俺、響木一斗は人生に絶望していた。


(終わったな、俺の人生)


「やってやりましたね! これで部員もりもり部費ザクザクにゃんにゃんにゃんですよ!」

「うん! 私の歌声ちゃんと皆に響いたかなっ!?」

「うむ、これ以上ないパフォーマンスであったな」


 どんな神経をしてたらあれを成功と思えるんだ。


「そんなわけない、大失敗だった……」


 部長だけが落ち込みまともな評論をしていた。


「うんこイリュージョンをする直前に幕を下ろされた、あれでは自由部の良さは伝わらない」


 そんなわけなかった。


(あのパフォーマンスでこの部活に入りたいなんてやつは気狂い……いや、賭け狂いだ)


 これで今年部員が増える事はないだろう。

 そして俺は狂人の一味の烙印を押され、進学先も就職先も見つからないまま海賊になって懸賞金を20億ベリーくらいかけられて生きていくしかないのだろう。

 あれ、案外楽しそう。


(そうだ、異世界に行こう)


 こんなとち狂った現実(とこ)にいるくらいなら、難易度エキスパートでいいから異世界に行った方がマシだ。


「どうしたカズト。生チン○ンに塩を刷り込んだような顔をしているぞ」


 どんなことわざだ。

 なめくじに塩と言いたいのか。

 生チン○ンに塩なんか刷り込んだら落ち込んでる場合じゃねえ!


「いや……皆さんはあれで新入部員がくると思っているんですか」

「なるほど、不安なのか。心配ない、カズトの前説も良かったぞ」


 俺の前説の心配はしていない。


「そんなに心配ならうちが手を打ってやろう、一人食い入るようにパフォーマンスを見ていた少女もいた事だしな」


(……そう言えば一年の別クラスの女の子があんな騒乱の中、一人だけ最後まで舞台を見つめていたな)


 あのまともそうな少女なら……!


--------------

-----------

------



<翌日の放課後>


「いやー皆さん!GWが終わったらとうとう待ちに待った中間テストですね!」

「全く待っておらんが」

「どちらかと言うと待っているのはGWの方ですよね」


翌日、部室に入ると聞きなれない声が夜永さんと太陽と会話しているのが耳に届いた。

もしかしてあの部活動紹介で本当に新入部員が増えたのだろうか!!??


「そんな事待ち望んでるなんて変態なの?」

「皆さんはテストでマイナス何点をとる愚か者なんですか?」

「何でマイナスをとる前提なのかな?」


部室には雨さんも雪音さんも香茶先生も全員が揃っていた──そして、何食わぬ顔で輪の中に混じっていたのは……『あのまともそうな少女』だった。


前回まで番外編とまで銘うってこいつにスポットを当ててたのは一体何だったのか。

闇堕ちするのが早すぎるんだよ。

普通の少女の振りしやがって。完全に前フリでしかなかったじゃないか。


俺はたまらず突っ込んだ。


「ちょっと待ってください」

「どうしたカズト?」

「しれっといますけどその子はいつの間に捕まえたポケ○ンなんですか」

「あなたポケ○ンだったんですか?」

「ええ」

「ふむ、ならば流行りのポケ○ンGOのように捕まえる事ができるかもしれん。やってみよう」


ブォン!


「危なっ!? スマホ投げないでくださいよぅっ!」

「ポケ○ンGOってそうやって捕まえるんでしたっけ」

「それっ」

「えぃっ」


ブォンブォン!


「痛い痛い! 助けてください! 入部早々いじめ受けてますよ先生!」バシッバシッ

「たぶん入部早々に生意気な口を聞いてたからじゃねーのか?」

「だって狂った皆さんがどれだけバカか気になるじゃないですか」

「お主大人しそうに見えてどれだけ毒舌なんだ」

「前話までのキャラはどこにいったの」

「殻をぶち破ったらこうなりました」

「どれだけ潜在的変態がいるんだこの学校」

「でも気になるです! 皆さんテストの平均はどれくらいなんですか?」

「うちは大体平均90点くらいだ」

「すごいです! 流石自由部一の常識人です!」


会話のみでお送りしよいと思ったが、太陽のその一言にはさすがに待ったをかけた。


「聞き捨てならない」

「ではお兄ちゃんは高校受験どれくらいだったんですか?」

「全教科満点だ、自由部の唯一の常識人は俺だ」

「逆に気持ち悪い」


辛辣な台詞を放ったのは、虫も殺せないようなあどけない顔をした新入りだった。


「お前はほんと前話までのキャラに戻れよ」

「れいんさんはどれくらいですか?」

「平均12000点くらいだよ」

「どうなったらそんな点数になるんですか」

「答案用紙の裏に『いい点くれたら踏んであげます』って書いたらいつもこうなんだよ~」

「きっとそんな性癖の教師がいるのだろうな」

「アタシも踏んでくださいっ!」


バチバチッ!


いつもの如し太陽は変態発言をしてスタンガンを喰らった。


「さようならがあたたかい」ビリビリ

「やはりこいつを黙らせるにはスタンガンよな」

「もうなんか慣れちゃって効いてませんけどね」

「それで部長はどれくらいなんですか? テスト」

「もちろん0点」

「そんな当然のように」

「部長のくせにうんこみたいな脳みそなんですね」

「ありがとう///これはお礼」ブリリ

「きれいな緑色のうんちだね~」

「おっ! 今日のおやつか! いただくぜ!」むしゃむしゃ


「ここには変態しかいないんですか」

「お前が言うんじゃない」

「太陽ちゃんは……聞かなくてもわかるんでいいです」

「悔しいですっ!」

「そう言うお前は何点なんだ?」

「じゃあ皆さんGW中に合宿行きましょうよ! 勉強合宿! 夜永さんのお金で!」

「聞けよ人の話を」

「んっ! ぐふっ! うんち喉に詰まっちまった!」ゲホッゴホッ

「皆さん! 新入部員の子の後ろに隠れるですっ! あれがきますよっ!」


ササッ


雪音夜永雨太陽一斗  林林  香茶


「? 何事ですか?」

「おええええっえろろろ」


雪音夜永雨太陽一斗 林林<ーヘドロー香茶


「」ビチャビチャッ


雪音夜永雨太陽一斗 ヘ林ド林ロ 香茶



 先生が吐き出した緑色の物体はヘドロ状になっており、林林はそれにまみれスライムみたいになった。


「先生と先輩方ですけど貴様らには色々言いたい事があります」

「わりぃ」

「すまん」

「でも合宿楽しそうだねっ」

「だけどGWじゃああまり時間はとれないですよ、誰かの家に泊まるとかそれくらいにした方がいいんじゃないですか? 合宿は夏休みまで伸ばして」

「お泊まり会ですか! いいですねっ!」

「誰の家にする?」


嫌な予感がしたので真っ先に発言を

「お」

「「「響木カズトお兄ちゃんくん」」」


しようとしたが、全く相手にならなかった。


「お断りします」

「じゃあ響木くんの家で!」「決定です!」「うむ」「楽しみですね!」


「聞いて人の話! そもそも俺は男なんで参加するのはまずいでしょう」

「華の女子高生五人とお泊まり会なんてきっとTO LOVEるが巻きおこるのに断っていいんですかお兄ちゃん!」

「お前らが巻き起こすのは限界パワーの界王拳だけだ」

「響木くんは都合よく一人暮らしとかしてないの?」

「高校生が都合良く一人暮らしなんてラブコメの世界だけですよ」

「アタシ達はラブコメじゃないですか?」

「何をどう考えてもラブコメではない、お前らの存在はファンタジーだ、悪い意味で」

「ではこの作品をラブコメにするために軌道修正をする」

「そうしよう」

「しかし何をどうしたらラブコメになるのだ」

「やっぱりお兄ちゃんを気持ち良くしてこちらも気持ち良くなってラブラブチョメチョメするのが王道だと思いますますっ!」ひはは


「お前の頭を軌道修正しろ、くそったれが」


「はぁはぁお兄ちゃん、今すぐアタシのお尻を競走馬のように叩くですっ!」ぐいぐい

「おっぱい揉みます?」もみもみ

「うんこ食え」ブブブブ

「はぁはぁ興奮してきおった、カズトのサイレントマジョリティ(体臭)を今すぐ嗅がせるのだ」くんくん

「じゃあ私は自分のおしっこを響木くんに点滴させるねっ」ブスッ

「はぁはぁ雨ちゃんの雨が俺の身体を駆け巡る」ぴちょんぴちょん…

「あっ先生に刺さっちゃった」


「誰か助けてーーー!」


 こうしてGWは俺の家でお泊まりラブコメ(狂)が開催される事になった。




















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る