第133話 誕生日

 俺の誕生日は12月18日だが、以前婆さんに有希の誕生日を聞いたところ、なんと12月18日だという事が判明した!

 そんな偶然ある!?

 婆さんが時々、死んだ爺さんが有希の元に俺を呼び寄せたって話を口にするけど、婆さんも有希も俺の免許証を見ているから、誕生日が一緒って最初に気付いてるハズ…。

 だから婆さんはそんな事言い出したのかな…なんか信じたくなっちゃうよね。

 

 丁度誕生日は連休なので、有希の家にお祝いに行くことになった。

 どこかお店を予約して3人で行こうかとSNSで送ったら、仙石原にある中華料理の店に行こうという話になり、予約を取ってお出掛けする事になった。

 更に19日はドラマの顔合わせが入って来たので、休暇を取り、誕生日会の次の日に仙石原からそのまま有希と一緒に車で行こうと思っている。


 

 18日の朝早くに有希の家に行き、芦ノ湖畔の喫茶店等でデートして、予約していたラウンドケーキを受け取る。

 有希の家までは、車を慎重に運転した。

 車の振動でケーキがクチャクチャになったら大変だからな。 


 一旦有希の家に帰り、夕方に婆さんの車を俺が運転して中華料理店に向かう。

 婆さんは俺の車には乗りたがらない。

 

 「ワシを脳内出血させるつもりか!

 ひ孫の顔を見るまではまだ死ねんわい!」


と言っている。 


 この中華料理店は以前に一度友人と行った事がある。

 フクロウが居て、ウンパイローが美味かった。

 今日はコース料理では無く、好きな物をそれぞれ頼んで皆で食べるという事にした。

 春巻き、ウンパイロー、麻婆豆腐、ニラレバ、カニ玉、レタスチャーハン、五目焼きそば等を皆で分けて食べた、ウマー。

 俺は車を運転して帰るので飲めないが、婆さんには酒を飲んでもらう。

 今日はビールと紹興酒を美味そうに飲んでいた。


 「プハァーッ、この一杯のために生きてる様なもんじゃ!」


 「婆さん、1年前もそんな事を言ってたな。」


 「…そうか、お主と会ってからもう1年になるのか、月日が経つのは早いのう…。」


 「そういえば、婆さんは俺に直に会う前に俺の免許証の画像見たんでしょ?

 なんで有希と誕生日一緒って言ってくれなかったのさ。」


 「何処の馬の骨とも判らんヤツに、いちいち孫と誕生日が一緒じゃなーとか言う訳無いじゃろが。」


 「そりゃ、そうだなぁ。

 じゃあ、有希は?

 気付いてた?」


 「私、免許証とかじっくり見た事無いし、イジメられてたから、そこまで気が回らなかったというか…。」


 「だよねー。

 そういえば言い忘れてた。

 婆さん、夜に有希と2人で大涌谷に星を見に行きたいんだが…許可をくれ。

 有希もいいか?」


 「かーっ、2人でお楽しみか、有希が大学卒業するまでは被せるモン被せるんじゃぞ!」


 「婆さん、俺と有希はまだ清い身体だよ、心配すんな。」


 「おっ、お婆ちゃん!お兄ちゃんも!

 何言ってるの、周りに人が居たらどうするのっ…!」


 「「…サーセン…。」」


 「おっ、ハモったな、真之!」


 「おぉ、これも1年の付き合いの成果か(笑)。」

 

 「そういえば、以前にワシが一筆書いた許可証はまだ持っておるのかぇ?」

 

 「あー、あの『イッてよし!』ってヤツか?

 あるよ、あるある(笑)!」


「全く…2人共、本当に仲が良いんだから…。」


 3人で笑いながら、楽しい時を過ごした。

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