第106話 抹茶アンパンと梨①

 9月に入った。

 有希は受験生だから進学が決まるまでは派手に遊ぶワケにはいかないので、有希に何か美味しいモノでも買っていって喜んでもらおうと思い、いつもの土日の連休を使って土曜日に買い物をした後、そのまま仙石原に行くことにした。

 

 有希に土曜日の夜に行く事は伝えてあるが、お土産の事は伝えていない。

 

 土曜日は目黒区にある抹茶アンパンのスゴく美味しいパン屋さんで抹茶アンパンを買い、その後稲城市にある行きつけの梨園で、『稲城』という品種の梨を買って行く予定だ。

 

 先ず抹茶アンパンは洗足にある一軒家の1階部分を改築して出店しているパン屋さんで売っていて、国産のパン作りに合う小麦を使っている。

 ここのアンパンの生地はフカフカしている普通のアンパンの生地と違い、ブリオッシュの様な形をした少し歯応えのあるパンが使われている。

 このパンの中に入っている京都産の抹茶粉末が使用されている餡はぎっしりと詰まっていて、ずっしりと重たい。

 それらが合わさった抹茶アンパンは最高に美味い。

 

 次に、『稲城』は大きくて甘いのが特徴で数が少なく、市場にはほぼ出回らないが、稲城市周辺の知っている人だけが買いに来て売り切れてしまうので、1度収穫時期が早まったのを知らなくていつも通りの時期に買いに行ったら予約でいっぱいで買えなかった事がある程人気だ。


 今日はこの2品を買いに行くのに俺の友人を2人誘っている。

 コイツ等も稲城のファンなので俺が運転すると言ったら、目黒区に行く事については誰も文句は言わなかった。


 先ず1人目は真野武征まのたけゆき、メガネを掛けた細身で高身長、高校の時の同級生で、現在は機械の設計・製作・販売をする会社で働いている。 

 パソコンや電気製品、機械の事に関してはコイツに聞けば間違い無く解決してくれる。

 俺は真野ちんと呼んでいるが、何故真野ちんと呼び始めたのかは覚えていない。


 2人目は鳴海賢なるみさとし、コイツも同じく高校の同級生で、中学の時は剣道部、高校の時はウエイトリフティング部に所属していた細マッチョだが、卒業後は何故か格闘技ばかり習っている。

 キックボクシング等色々と習っていた様だが、今は中国拳法を中国人から習っている様だ。

 コイツは高校の時に俺の顔の事をよくからかって来ていたので、鳴海と呼び捨てにしている。

 

 俺達は3人共2ドアのスポーツカーに乗っているので、3車両の後部座席はどれも狭く、無いに等しいが、3人でつるむ時は誰かがガマンして後ろで

 

 「狭いよー。」


等と文句を言いながら遊びに行っている。


 3人で車に乗っていると高確率で勃発するのが、すかしっ屁紛争だ。

 誰かが黙って車内ですかしっ屁をすると、報復合戦が始まる。

 そして必ず誰かが止めようと言い出すのだが、忘れた頃にまた報復合戦が始まるのだ。

 この紛争は終わりが見えない。




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短編小説、

 

 『同じクラスの女の子2人を同時に好きになってしまったんだがどうしたらいいのだろうか。』


を書いてみました。

 よろしければお読みいただき、面白いと思っていただけましたら、ご感想やお星様をよろしくお願いいたします。

 

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