第61話 急襲①
交番の昼休憩の時間…
「先輩、新緑の眩しい季節になりましたね。」
「………。」
「先輩は確か、車を持ってましたよね。」
「………。」
「先輩の家と私の女子寮は結構近いですから、どこかドライブに連れて行ってください。」
「おい、何で俺の個人情報がオマエにバレてるのか、説明しろ!」
「嫌だなー、先輩と私の仲じゃないですかー、そんなの知っててトーゼンですよー。」
「………💢」
「…ゴメンナサイ、他の先輩に聞きました。
もー、先輩怒ってばっかり。
たまには息抜きも必要ですよ、私と何処かにお出掛けしましょー。」
「オマエと居るから息が詰まるんだよ!
何で俺がオマエとドライブに行かにゃならんのだ!」
「こんなカワイイ子がデートに誘ってるんですよ?
先輩が断るなんて私に失礼ですよ、もーっ!」
「💢💢」
あの侵入盗の犯人を捕まえてから、最近はいつもこんな感じだ。
菅野があまりにも俺に対してだけ失礼だから、俺も敬語を使うのはヤメた。
コイツ、最初は高卒でブサイクな俺の事をバカにしてたクセに、最近はやたらちょっかいをかけて来る。
俺をバカにしているとしか思えん。
あー、腹立つわー、オレ、コイツ、キライ!
今日は日勤で夕方までの勤務だから、終了後は真っ直ぐ家に帰った。
この間、片山家に行ってタッパーにいっぱい料理を入れてもらって帰って来たから、今日の晩御飯もウキウキだ。
米を炊いて、と。
何を食べようかなー?
『ピンポーン』
ん?こんな時間に誰だ?
俺最近ネット注文とかしたっけ?
「はーい、今開けまーす。」
俺は玄関ドアを開け…そしてそのままドアを閉めた。
『カチャッ。』
カギも締める。
ス…ストーカーだ、ストーカーがいる…!!
「ちょっと先輩、カギまで締めなくてもいいじゃないですかー。
貴方のカワイイ後輩ですよー。
あーけーてー。
あーけーてーよー。」
「怖い怖い、マジで怖いわ、ストーカーの間違いだろ!」
…これ、ホラー小説だったっけ…?
イヤイヤ、何かの間違いだ。
「オマエ…コレ、犯罪だぞ!
何しに来たんだ、帰れ!」
「先輩、ここで私が騒いだらマズい事になるんじゃないですか?
開けてくれないと叫びますよ?
無い事無い事大声で言っちゃいますよ?
いいんですか?」
「……………待たせたな、ちょっと同じ事、もう1回言ってくれる?」
「先輩、スマホで録音しようとしてるでしょ!
酷いわっ!この女たらしっ!私とは遊びだったのねっ!」
「分かった!分かったからっ!
今開けるからっ!」
俺は急いでドアを開けると付近を見回し、誰か通報する素振りをする人がいないか確認した後、菅野を玄関に引き入れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます