第62話 急襲②
「ちょっ、オマっ、本気で叫んだな!
本当に怖いわ、オマエ…
何しに来た!?」
「いやー最近先輩が相手にしてくれないから、後をつけて来て自宅に突撃しちゃおうかなーと…
テヘッ。」
「テヘペロじゃねーよ!!
オマエ、俺が本気で襲ったりとか考えねーのか?
それにもしここで110番通報されたら、即バレて明日上司に大目玉だぞ!」
「スミマセン…でも先輩はヘタレだから私を襲ったりしないし、私はお前じゃありません、まやっていう名前があります。
まやって呼んでください。」
「……で?
どうしたら帰ってくれるんだ?」
「先輩、夜ご飯まだですよね?
私が作ってあげます!
台所何処ですか?」
と菅野は靴を脱いでズケズケと中に入って来た。
あまり迷わずに台所まで行くと、勝手に冷蔵庫を開けた。
「…あれ…?
先輩、自分で料理作れるんですか?
中身の入ったタッパーがいっぱい…
先輩独り暮らしですよね?
…まさか、女?
この顔で、女!?
ウソでしょう?
詐欺だわ…。」
「オマエには関係無いだろ。」
「何ですか、その反応…
本当に彼女いるんですか!?」
有希には悪いが、ちょっと婚約者の設定を使わせてもらうか…
「婚約者がいる。」
「ヒドイっ…私に彼女はいないってウソを付いてたのねっ?最低!」
「…オマエが勝手に人の顔見て彼女いないって決めつけたんだろうが!
とっとと帰れ!」
「先輩、ご飯炊けてる?
このタッパーのおかず温めて、ご飯にしましょ。
先輩の彼女の作った料理食べてみたい。
先輩、お皿用意して。」
コイツ…すんげーメンタル強い…!
どんな人生歩んで来たんだ…
こんなヤツには敵わん…。
俺はコイツを追い出すという気持ちが折れたので、仕方なく茶碗や皿を用意して、早炊きのご飯が炊けた後おかずをレンジでチンして、ご飯を茶碗によそってインスタント味噌汁にお湯を入れて2人分の食事を用意した…。
「いただきます。」
「…いただきます…。」
「ちょっと先輩、暗いですよ?
せっかく私と食べてるんだから、もっと楽しそうに食べてくださいよ。
あら、このホイコーロー凄く美味しいっ…
やるわね…強敵だわ…
どうしてくれようかしら…ブツブツ…」
「本当に何をしに来たんだよ…
食べたら帰ってくれ…。」
「先輩、私…先輩の事が気になって仕方ないんです…。
あのビルとビルを飛び越えて先輩が侵入盗の被疑者を捕まえたあの日から…。
先輩、B
ブスやブサイクが好きな人の事をそう呼ぶんですけどね…。
私、B専なんです。
先輩は性格もいいし、運動神経もいい。
それに高卒だけど、警視庁以外に国家公務員の行政事務の試験も受かってますよね?
他の先輩に聞きました。
だから、頭もいいハズ。
もう有料物件じゃないですか、顔も私好み!
なので先輩は私が幸せにしてあげますから、彼女とは別れてください…
って、聞いてます?私の話!」
俺はもむもむと一心不乱に有希の作ってくれた飯を喰らって、聞いてないフリをした。
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