バーニング高杉VSタイム鴻上

澄岡京樹

異能バトル小説RTA

バーニング高杉VSタイム鴻上


 煌びやかなビルの群れが竹の如く乱立する——そう、そこの名は摩天楼スカイスクレイパー

 暗黒四天王の支配から解き放たれたウェストロック、その中でも最大の都市『ライデン』の名物がそれら摩天楼である。

 行き交う人々は平和と自由を謳歌している。そんな往来の中に、二人の男がすれ違おうとしていた。


 一人の名はバーニング高杉。紅蓮の頭髪、赤黒のジャケット、腕が燃える特殊能力。そんな感じの特徴を持つ青年である。

 もう一方の名はタイム鴻上。両腕に時計をそれぞれ十二個ずつ巻きつけた特徴的な青年である。ていうか時計が存在感ありすぎて後の特徴が霞んで見える。一応描写すると白いスーツを着た青い長髪の青年である。


 高杉と鴻上は次第に接近し、ついには互いの眼前に現れた。いわゆる対峙というやつである。二人は特殊能力者同士なので、なんだかんだで戦う定めなのだ。なぜ戦う定めなのかと言えば、ライデンの市長がバトルマニアなので「賞金とか名誉とか列車の定期券とかあげるから、みんな特殊能力使って死なない程度にバトルしてくれよな!」などと宣ったためである。定めじゃないだろ、これもうバトルものの導入だろ。それはそう、だってこれバトルものだもの。


「うォォ! あれバーニング高杉とタイム鴻上じゃね!?」

「異能バトルのお時間か!?」

「ポップコーンおいしい!」

 などなど、既に観客が彼らの周りに集まり始めた。市民は市民でバトルがクッソ好きなので、周囲でメッチャ盛り上がるのだ。なんというかそういう町なのだった。


 ——それはそれとして。


 ——それはそれとして、高杉も鴻上も実はインドア派だった。特殊能力こそ持ってはいるものの、正直バトルとかクッソめんどくさいのでしたくないし、早く家に帰ってゲームとかやりたかった。彼らは互いにそう思っていたし各々の能力を開示した上でこの場所に落ち合ったのだ。


「鴻上。俺はなんというか炎属性だ」

 高杉はそう言って腕から炎を発現させた。これは並行世界から熱量を回収して発現させているとかいうわりとスゴい技だった。

「高杉。僕は熱量を利用して時を戻せる」

 鴻上は時を戻す特化の能力者であった。戻すことしかできない代わりに、自分を含めて二人まで記憶を維持させたままにできる。

 こうしてピースは揃った。


 高杉と鴻上はライデンの現市長がもみ消したスキャンダルが発生したタイミングまで時間を戻し、それを暴き立てて市長選の歴史を変えた。


 こうして二人は楽しくインドアライフを送るようになったとさ。


 お後がよろしいようで(よろしいか?)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

バーニング高杉VSタイム鴻上 澄岡京樹 @TapiokanotC

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ