第37話 自信と責任
「ある時、
淡々と語る
「そして思った。僕は
そう
「自分の人生全てを捧げても返しきれない、それくらい
「もういい、分かったから……ちょっと待って」
耳まで赤くした
「いくら正直にって言っても、生々しすぎるわよ。何でもう、あなたって人は……いつも無口な癖に、話し出したら止まらないんだから」
「ごめんよ。でも、これが本心なんだ」
「それにしてもよ。そこまで恥ずかしい告白なんて、別にしなくていいの」
「これでもかなり抑えてるんだけど」
「それでも駄目。目の前には思春期の子供もいるんだからね」
「……そうだった、ははっ。二人共ごめんね」
穏やかに笑った
「僕は
なのに
それなのに、何がどうなってか分からないけど、僕の告白は受け入れてもらえた。僕より遥かにスペックの高い大橋くんを振って、
あの時の
「馬鹿」
そう言ってもう一度、
さっきよりも少し強めに。
「それでもあの時言ってくれたこと、あれは本当だったんだよね」
「うん……
「嬉しかったんだよ、あの時」
照れくさそうにそう言って、
「告白を受けてもらった以上、僕には
でも残念ながら、僕のスペックは一向に上がらなかった。就職活動も全滅、何とか雇ってくれた今の職場だって、僕の能力じゃいつまでいられるかも分からない。こんな僕に、
「私はそんなこと、全然気にしません」
自嘲気味に笑う
「例えどんな仕事であっても、
そんなことより私は、私のことを大切にしてくれる、想ってくれる人と一緒に生きていきたいんです。そしてそれは
「確かにまあ、不安定な収入となると大変かもしれない。でも
「……」
「それにね、告白を受け入れたのは私の意思なの。
誰よりも優しくて、誰よりも相手のことを考えて行動する、そんなあなただから、私は好きになったの。そんな私の気持ちを無視して、資格がないとか自信がないとか、勝手に言ってほしくないわ。何であなたってば、そうネガティブにばっかなるのかしら」
「でもやっぱり、僕には
「そんな訳ないでしょ。今だから言うけどね、あの時だって私、あなたが別れたくないって言ってくれるの、待ってたんだから」
「そうなのかい?」
「ええそうよ、すいませんでした。ああいう時ってね、全部が全部本音って訳じゃないの。そりゃあ、試すような言い方をして悪かったと思ってる。でもね、否定してほしいから言ってしまう言葉ってのもあるのよ」
「人付き合いって本当、難しいんだね」
「自分でも面倒くさい女だなって思った。でもね、まさか
「自分からはしなかったんですか」
「
「
「言わないで言わないで、自分でもそう思ってるんだから」
そう言って頭を抱える
どうなることかと思いながら始めた話し合い。
3年間、ほとんど会うこともなかった二人。
でもこうして顔を合わせると、私たちと同じように軽口を叩き合っている。
やっぱり私と
やっぱり幼馴染なんだ。
そんな人と巡り合えたことに感謝しつつ、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます