第35話 呪い
「
「
自身のことを
「僕はね、
「
「そうなるね。
「……はい」
言葉と同時に膝から崩れ、
頬に涙が伝う。何度も「ごめんなさい、ごめんなさい」そうつぶやく。
そんな
「どういうことなのか、分かるように言って。自分のことを、なんでそんな」
「
「……勿論よ。忘れられる訳がないじゃない」
「あの三年間は、本当にきつかった。今すぐこの世から消えてしまいたい、そんなことをいつも思ってた」
「クラスが別だったし、
「酷いなんてものじゃなかった。まあ教師の言葉を借りるなら、いじめられる僕にも原因があるらしいけどね」
「何よそれ、そんな馬鹿なこと言った教師がいたの? その時に聞いてたら私、絶対職員室に怒鳴り込んでたわ」
「
「いじめられてる側に原因があるなんて、それは加害者側の屁理屈じゃない。運動が出来ないからいじめられる。だったらその人が努力して、運動が得意になったらいじめられない? そんな訳ないじゃない。そうなったら彼らはきっと、また別の何かを探していじめだす。いじめる理由なんて何でもいい、ただ面白いからやってる、それだけなんだから」
「そんな風に思ってくれる人が一人でもいたら、僕の中学時代も変わってたかもしれないね。でも現実は残酷だった。
嫌がらせ、暴言、暴力。授業で発言をするたびに笑い声が聞こえる。そんなことが続いていけば、流石に自己否定の気持ちが生まれても仕方ない。
いじめはだんだんエスカレートしていってね、最後に行き着いたのがこれだった。ばい菌扱い」
「え……」
「僕は最後の1年間、ばい菌扱いされていた。幼稚だよね、本当。でもね、その幼稚極まりない行為が、クラス中に蔓延してたんだ。
誰も僕に触れようとしない。僕の机にも、鞄や教科書にも。もし触ってしまったら、クラス中大騒ぎだった。『腐っちまうぞ』『消毒、消毒』と騒ぎ立てて手を洗いに行ってた。
罰ゲームで僕の机を触る、なんてこともあった。みんな嫌悪感いっぱいの顔で、恐る恐る僕の机を触るんだ。
そんなことが続いていく内にね、関わってなかった人たちの間でも、僕が
淡々と語る
「勿論それは、いじめから生まれた下らないイベントでしかない。僕が本当に
だからね、自分から他人に触れない、そんな癖がついてしまったんだ」
「
肩を震わせる
「そういう訳で
そう言って力なく笑い、「ごめんね」そう囁いた。
「
「いえ……
しかし
「
「……自分は
「うん。気持ちはあってもね、どうしても……ごめん」
「でも……それじゃあおかしくない? だって
「それは……
私は今日、
だから
でも……そうじゃなかったんだ。
確かにあの時、私は
自分から私に触れてくれた訳じゃなかったんだ。
そう思うと、
舞い上がっていた自分を殴ってやりたい、そんな気持ちになった。
私は
見ようとしていなかった。
そう思うと、また涙が溢れてきた。
「
「もういいわよ、どうでも」
ビールを飲み干した
「私も、そして多分
そう言って頭を下げる。溢れる涙がこぼれ落ち、地面にぽつりぽつりと落ちていく。
「いいんだよ、それは。僕の方こそ、意気地なしで悪いと思ってる。まあ告白した今でも、君に触れることは出来そうにないんだけどね」
「いいの、もういいから……ごめんなさい、
そして
肩に触れてくれたことに驚いた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます