第34話 あの時の気持ち
「まず初めに聞いておきたいです。二人はお互いのこと、どう思ってますか」
緊張気味な面持ちで、
「もう一度聞くんだ」
「ごめんなさい。でも、スタートがはっきりしてないと進めないと思うんです。お二人の気持ちは昨日、確かに聞きました。でもそれは私への返答です。お二人共、落ち込んでる私に気を使っていたのかもしれません。だからもう一度、お互いの顔を見て答えて欲しいんです」
「……分かった。ちゃんと答えるって言ったもんね」
「私は
「
「そうだね……うん、昨日言った通りだよ。僕にとって
僕も
「ありがとうございます、
そう言った
「
「あ、いえ……お二人の気持ちをちゃんと聞けて、ほっとしたっていうか……でも、それならどうしてこんなややこしいことになってるのか、私には理解出来なくて」
「だよね。なんでこんなことになってるのか、改めて聞かれると私も分からないよ。
昨日
「
「正直に答えたつもりなんだけど、
「はい、全然納得出来てません。イベント慣れしてる私たちには分からない、現実はもっとシンプルなんだ……意味が分かりません」
「それについては
「あなた言ったそうね。私たちが別れたことに、特別なきっかけはなかったって。小さなすれ違いが積み重なっていって、自然消滅したって」
「うん、確かにそう言った」
「本気でそう思ってるの? もしそうならこの話し合い、今ここで終わらせたいぐらいなんだけど」
「私には理由、ちゃんとあるよ。理由がないなんてこと、ある訳ないじゃない。だって私たちだよ? 物心ついた時から一緒だった私たちなんだよ? そんなあなたと別れるのに、理由がない訳ないじゃない」
「じゃあまず、
「……」
「
「……分かった、分かったってば。でもね、これはあくまで私の気持ち。
「構いません。今私がしようとしてることはそれなんです。すれ違った気持ちを確認し合う、お互いにぶつけ合って理解し合うんです」
「……
「あの日……あなたたちにとっては昨日のことだったわね。私たちは、ここで初めてキスをした。本当にドキドキした。そして……幸せだった」
頬を染め、過去の想いに身を委ねるように
「ずっと私のことが好きだった、そう言われた時も嬉しかった。その時と同じぐらい、幸せな時間だった。自分から話も振れない、いつも私が振り回していた
「
「でも
「そうかも……しれないね」
「そうかもって……
「隠してるつもりはないよ。ただ僕は、
「はい……」
「この話、まずは君の気持ちを伝えた方がいいのかもしれない。これは君たちにとっても大切なことだ。僕が言ってもいいんだけど、君の口から
「
「
「じゃあ……これから
「ごめん、
声を絞り出すように
「やだ、何でよそんな……何がいけなかったの? どうしてなの?」
「僕は昨日、
でもあの時……ミウを助けようとする
「僕の場合ミウとの出会いはなかったけど、それでもあの時、僕も
「でもすぐに後悔した。何てことをしてしまったんだって」
「どうして? なんでそうなっちゃうのよ。あの時私、本当に嬉しかったんだよ?」
「
「え……」
「あの時、
「それは……」
「
「なんでよ、なんでそうなるのよ。確かに私、泣いちゃったよ。でもあの涙はそうじゃない。嬉しかったの、幸せだったの」
「そうだね。あの後も
「なんで、なんで……」
「僕が10年かけても言えなかった気持ち、よく言ってくれたね。ありがとう、
優しく
「
「ここからは僕が話すとしよう」
そう言って、
「
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