第11話 決断
夜の神社。
怖がりの
しかし今の
何しろ自分はこの世界の影なんだ。誰からも認識されない存在なんだ。
どちらかと言えば、自分の方が怖がられる立場。
そう思うと、不思議と怖く感じなかった。
それより
どうして
未来の私たちに、一体何があったのか。
作家になる夢を捨て、私と別れた
穏やかだけど、どこか陰りのある笑顔。
最初に見た時、あの笑顔にときめいた。
しかし一緒にいる中で、段々と違和感を感じるようになっていた。
その理由に自分が関わっていることは間違いない。
この時間に来たのは、私たちの幸せな姿が見たかったからだ。
未来を見たい。その一点では、確かに目的を果たせた。
でもこのままじゃ帰れない。帰りたくない。
別れたことにきっかけはない。
でもそんな筈はない。
いくらイベント慣れだと否定されても、それだけで納得出来る訳もない。
この世界の私だってその筈だ。だって私なんだから。
こんな現実を見せられた今でも、私は
どんなに否定されたとしても、この想いだけは本物なんだ。
だから確かめたい。
そう思った
「そっか……分かった。でも
穏やかに微笑む
「はい。少し一人で考えたいだけですから。気が済んだらまたお邪魔させてもらいます。
「そんなことないよ。明日は日曜……と言うか明日から10日ほど、有給消化ってことで会社から休暇を出されてるんだ。まあこれも、精霊の猫ちゃんの仕業なのかもしれないね。だから大丈夫、いつでも来てくれていいから」
「ありがとうございます。そういうことなら、またすぐにお邪魔させていただきます」
そう言って一旦別れた
ーーこの場所は私にとって、忘れることの出来ない大切な場所なんだ。
今の状況で、これ以上にふさわしい場所なんて思いつかない。
誰も望んでいない未来。
今日会った誰もが、今の状況を受け入れてるとは思えなかった。
しかし嘘だ。
そう思おうとしているだけだ。そうしないと、自分が壊れてしまうから。
ミウは言った。一番ふさわしい時間が見つかったと。
あの言葉。あの時は聞き流していたけど、今となっては納得がいく。
二人の未来を見るだけなら、何もこの時間にこだわる必要はない。
1年後だってよかった筈だ。20年後でもよかった筈だ。
それなのにミウは、あえてこの10年後が「ふさわしい」と言った。
そしてこうも言った。
私がこの時間で何をしても、干渉にならないと。
それはつまり、干渉してもいいということだ。
きっとミウは私たちの未来を一通り探り、私が干渉出来るこの時間を見つけてくれたんだ。そうに違いない。
私が干渉することを拒んでいた。
でも
恋愛は、自分だけじゃどうしようも出来ないんだって。相手の気持ちにまで干渉することは出来ないんだって。
その通りなんです。
私の気持ちは私だけのもの。
いくら
私はこのまま帰りたくない。
私とあなたが幸せそうに笑ってる、そんな未来であって欲しいんです。
だからごめんなさい、私は動きます。
きっとそれが、この時間に来た意味だと思うから。
「ミウ、私のこと見てるよね。姿を見せて欲しいの」
一陣の風が起こり、
そしてゆっくり目を開けると、月明かりの下、ミウの姿があった。
「何か決めたようだね、
「まあね。この時間に来てそれはもう、驚くことばっかで。本当ミウってば、大変な未来に連れてきてくれたよね」
「あはははっ、気に入ってもらえたかな」
「気にいるかどうかは、この先次第かな」
「それで? このタイミングで僕を呼んだんだ。何か手伝うことでも出来たのかな」
「そうね。ミウにしか頼めないこと」
「
「その前にミウ、もう一度確認するよ」
「何かな」
「私がこの時間に干渉すること。それは許してもらえるんだよね」
「あはははっ、
「ありがとう、ミウ。じゃあ私のお願い、聞いてちょうだい。
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