『西暦2131年 7月20日』

 星間移民船『ネオ・アポロ』は、5回の亜空間航空の結果、人類の移住先として選定していた惑星Kepler-1649 cに到着。


 ハビタブル(居住可能)惑星の定義を満たしていない同星だがテラフォーミングは大きな障害がないまま順調に進行し、12年後には地球とほぼ遜色のない惑星となるまで改造が進んだ。


 小惑星の衝突が予期されたことによって地球の棄却を決定した人類の新天地としてケプラー含む4個の岩石型惑星が候補となったが、人類は何度かの世界会議を経てケプラーを最終候補とした。


 82億人の人類の総意として、こうなったのだ。


『あそこが、私の大好きな地球に一番よく似ているの』


 と。



 初の惑星間移住を見事成功させた人類はその後加速度的にテラフォーミング技術を発展させ、ハビタブル基準が極端に低い惑星にも居住を可能とし、地球から発生した人類という種は銀河の隅々に発展した。


 地球外人類との交流も開始され、混血人類も誕生し、宇宙中の遺伝子をその身に取り込んだ人類は、いつしか肉体の性質を変容させていく。


 けれど、心はずっと変わらなかった。


 地球という星の背中に乗って笑い合っていたあの頃と。

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