第2話:異世界到着

ワシは島左近清興(しまさこんきよおき)、関ヶ原の戦で戦死し、裏飯なる者によって配下の颯馬与一と共に異世界へ向かった。ワシと与一は異世界に到着した。辺り一面は平原であった


「ここが異世界か。」


「もしかして左近様にございますか?」


「お主は与一か?」


ワシと与一は互いに顔を見合わせた。外見は若返っており、見た目は20代前半で、色白の肌で黒髪紫眼、二人の顔立ちは彫りの深い精悍な男前である。この時の島左近の身長は6尺(182㎝)、颯馬与一の身長は5尺5寸(165㎝)であった。因みに左近と与一のいる異世界での男性の平均身長は165cm、女性の平均身長は160cmである


「左近様、なかなかの男振りですな。」


「そちこそ、なかなかの男前だな。」


「畏れ入ります。」


とりあえずワシと与一は若返ったようだ。どうやら裏飯の言ったことは誠のようだ。


「ここが異世界か。」


「ええ、辺り一面、何もございませんな。」


「ああ、これだけ広いと道の普請や開墾ができるな。」


「左近様、それよりも先に町へ行きましょう。」


「そうだな、早速、羅針盤を使うか。」


ワシが念じると羅針盤が出てきて、町のある方向を確かめた。羅針盤は東の方向を指していた


「東か。」


「それでは東へ向かいましょう。左近様、水筒と携帯食と薬を調べてみましょう。」


「うむ、そうだな。」


ワシと与一は念じると水筒と携帯食が出てきた。水筒を開けると水が出てきた。試しに飲むとれっきとした水である。いくら飲んでも無くならず、試しに水筒口を下に下げると、水が出てくる。いくらでも出てくる。飲み水に困らずにすむ。携帯食だが、入っていたのは乾パンと金平糖が出てきた


「これはコンフェイトという南蛮の菓子だ。こちらはビスカウトという菓子と似て異なる物だな。」


「このコンフェイトという菓子は甘いですな。こっちのビスカウトに似た物は中には胡麻が入っておりますがモサモサして口から水分が無くなりますな。」


「うむ、とりあえず食うには困らぬな。」


「薬の方はポーションなる水薬と様々な丸薬等が入っております。」


「うむ、万が一、病や怪我をした時には必要だな。」


「左近様、食糧や水や薬の心配ありませぬな。」


「裏道に感謝せねばな。」


一応、資金は調べてみると100万エンが入っており、金貨は1枚は1万エン(日本円で1万円)、銀貨は1000エン(日本円で1000円)、銅貨は100エン(日本円で100円)、鉄貨は10エン(日本円で10円)というのがこの異世界の通貨らしい。ワシと与一は裏道に感謝しつつ、羅針盤の指した方向へ向かった。その道中、ワシと与一は盗賊団に遭遇した


「ヒャッハー!おい、そこの2人組!有り金と食糧を置いてきな!」


「さもないと、てめえらの命を奪うまでだ。ヒャッハー!」


「左近様、如何いたしますか?」


「愚問だ。」


左近は手元から日本刀を出現させた。盗賊団は突然現れた武器に驚き、警戒を始めた


「おい、こいつ剣を出しやがったぞ!」


「き、気を付け・・・・」


盗賊の一人が言いかけた途端、一瞬で空中に舞った。そしてドスンと地面に落ちた。それは盗賊の首だった。胴体は首の部分から出血し、痙攣しながら倒れた。盗賊団は仲間の首を見て・・・・


「ヒイイイイイイイ!」


「や、やりやがったな!」


左近は刀を見た。刃毀れがなく、血脂がなく、斬る前の日本刀と、変わらなかった


「どうやら本物のようだな。」


「な、何言ってやがんだ!」


盗賊がそう言った途端、盗賊の視線が地面に向いていた。先ほど喋っていた盗賊も首を切られたのである。左近は電光石火の早業で次々と盗賊を斬り殺していった。逃亡しようとする盗賊に後ろから手裏剣を投げ負傷させた


「おい、やべえぞ!」


「は、早くずらか・・・・」


「逃がすとおもったか?」


1人の男の声が響いた途端、残りの盗賊の首筋から血がどばっと吹き出した。残りの盗賊も何が起こったのか分からず、息絶えたのである。与一は両手に忍刀を持ち、一瞬のうちに盗賊の頸動脈を切り裂いたのである


「腕は衰えておらぬようだな、与一。」


「左近様も。」


盗賊団を全員、始末したあと改めて自分の得物を確かめた


「うむ、刃毀れが一切なく血脂も付着しておらぬ。良き刀じゃ。」


「右に同じく。」


「裏飯に感謝せねばな。」


「御意。」


ワシと与一は盗賊団を屠った後に、東の方角へと向かった。歩き続けてから数刻が経ち、ようやく町に到着した


「左近様、町にございます!」


「ああ、羅針盤は本物のようだな。」


「町の名前はガルバ町ですな。」


「四方を城壁に囲まれた町だな。」


ワシと与一は町の正門前の看板を見た後に早速、町に入ろうとしたが、途中で門番に遭遇した。門番は真っ先に我等の方へ向かってきた


「旅の者か?」


「如何にも。」


「では身分証を見せてもらおうか。」


身分証、そういえば持ってない、現地での発行だと裏飯が申した。裏飯の忠告通りにしようと思う。ワシは与一と目を合わせ、実行した


「すまないが道中で身分証を落としてしまって、新しく作りたいと思って、この町に来たのでござるが・・・・」


ワシがそういうと、与一は申し訳なさそうな表情で門番に会釈した


「ではギルドへ案内いたす。そこで身分証を発行してもらおう。」


「忝い。」


ワシと与一は警備の兵に案内され、ギルドなる建物に到着した。ワシらは警備の兵士に礼を述べた後に、ギルドに入り、そこへ受付をしている南蛮人の男が出迎えた。見た目は金髪碧眼、色白で中肉中背、30代後半の男だった


「ギルドへようこそ。私は当ギルドの長を務めるオークラ・ホールドと申します。本日はどのような御用件で?」


「うむ、新しく身分証を発行したいのだが・・・・」


「それでは発行料として5万エン、お二人合わせて10万エンになります。」


「相分かった。」


ワシは資金から10万エンを取り出し、ギルドの長に渡した


「はい、丁度ですね。では適正を調べさせていただきます。」


オークラは水晶を取り出した。この水晶に手をかざし、適性を調べるのだと言う。試しにワシは手をかざすと、水晶が赤色と緑色と紫色に光り出した


「おお!貴方は【戦士】属性と【軍師】属性と【為政者】属性ですね。お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」


名前か。この男は確かオークラ・ホールドとか言ったか。前の名前だと通じぬな。この世界、逆から名前を呼ぶようにしなければならぬらしい


「ワシはサコン・シマと申す。」


「サコン・シマ様ですね。はい、登録できました。では御次の御待ちの方、この水晶に手をかざしてください。」


次に与一が手をかざすと、黒色に光り始めた


「貴方は忍者属性ですね。お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」


「ヨイチ・ソウマにござる。」


「ヨイチ・ソウマ様ですね。はい登録ができました。」


オークラ・ホールドは、ある書状にペンという筆のような物を手に取り、記入していた


「では身分証を発行いたしますので、待合席でお待ちください。」


そういうと、席をはずし、部屋の奥へと向かった。ワシと与一は待合席にて待っていると・・・・


「おい兄ちゃん。」


そこへ如何にも傾奇者のような派手な格好をした4人組の男が立っていた


「兄ちゃんたちにお願いがあるんだけどよ、金、貸してくれねえか?」


「ギャンブルですっちまってよ。」


ギャンブル、我等がいた現世では賭博だな。現世でも異世界でも賭博にはまる奴はいるものだな


「おい、無視してんじゃねえぞ!ゴラア!」


一人の傾奇者が怒鳴り散らした。正直、小物が喚いているようにしか見えん。ワシと与一がとりあえず相手をすることにした


「すまぬがお主たちにやる金はない。」


「何だと!てめえらただじゃおか・・・」


一人の傾奇者が言い終わる前に、ワシは二人の傾奇者の腹に当身を食らわせた。すると二人の傾奇者は口からゲロを吐き、蹲り、そのまま倒れた


「や、やりやがった・・・・」


「動くな。」


二人の傾奇者が言い終わる前に与一は忍刀を残りの傾奇者の首筋にあてた。傾奇者もいつの間に自分の首に刃物があったことに驚き、思わず失禁した


「金を要求する相手を間違えたな。」


「おい、そこで何をしている!」


そこへ警備の兵が駆け付けた。ワシらの証言と周囲の証言もあって、警備の兵が気絶している二人と失禁した二人を連れて行った


「あ、あの大丈夫ですか?」


そこへオークラが駆け付け、ワシらの安否を確かめた


「ああ、心配ない。それと騒がして申し訳ない。それに床も汚してしまった」


「いいえ、それは別に構いませんが。」


「それで何用か?」


「そうでした。身分証ができましたのでどうぞ。貴方方はギルドの会員として活動できます!」


オークラは身分証をワシらに渡した。身分証は手札のようなもので普通の紙とは違い、感触が違っていた


「仕事を探しているのだが・・・・」


「はい、御仕事でしたら、あちらの掲示板でお探しください。」


オークラが案内したのは掲示板に張ってある張り紙だった。階級によって危険度が違っている。階級が高い場合は危険度が高いが、その分報酬が多い。階級が低い場合は安全だが報酬が少ないようである


「今日は御仕事をなされますか?」


「いや、どのような仕事があるのか確かめたかっただけだ。今日は帰ることにする。」


「そうでしたか、もし当ギルドに御用があればお声をお掛けください。」


「あぁ、世話になった。」


ワシと与一はギルドを出て、とりあえず町内を見て回った。城壁に囲まれているが比較的、大きな町であり、問題を起こすのは旅の者が多く、基本的に治安も良く、日用品や食料も豊富で多くの旅人を見かけたことから、ガルバ町は交通の要衝であることを見てとれた


「左近様、ここを拠点に致しましょう。」


「あぁ、これから先は我々の力で金を稼がねばならぬな。」


「左近様、与一はどこまでもお供致しまする。」


「うむ、こちらこそ宜しくな。」


「ははっ!」


ワシと与一はこの世界で生きる決意を旨に宿を探すのであった

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