冒険者編
第1話:異世界転生
慶長5年(1600年)、ここは美濃国関ヶ原、この地にて東軍率いる徳川家康と西軍率いる石田三成が号令をかけた。号令の下、西軍8万、東軍7万、両軍合わせて15万が関ヶ原の地にて激突した
「逆賊、徳川内府、それに連なる賊共よ!正義の鉄槌を食らうがよい!」
「君側の奸、石田治部少輔、豊臣家から除くのだ!」
両軍が激突し、互いに一進一退の攻防を広め、互いに暗躍した。しかし一つのきっかけで戦いは終結を迎えた
「松尾山にいる金吾中納言(小早川秀秋)に大筒を放て!」
徳川家康の命で大筒が松尾山に放たれ、小早川軍の陣地に直撃した。小早川軍は突然の砲撃に驚き、小早川秀秋は突然の轟音に・・・・
「な、何事じゃ!」
「痺れを切らしたものと思われまする!」
「どちらだ!」
「徳川の陣営から放たれた模様!」
「出陣じゃ!」
小早川秀秋は馬に乗り、全軍に号令をかけた
「皆の者、敵は石田治部少輔!」
「「「「「オオオオオオオオオオ!」」」」」
小早川軍は松尾山を下り、大谷吉継の陣に突撃した。大谷吉継は事前に小早川の裏切りの情報を入手しており、迎え撃った
「人面獣心、金吾中納言を討ち取るのじゃあああああああ!」
「「「「「オオオオオオオオオオ!」」」」」
大谷吉継はわずか600ほどの兵で小早川15000の兵を跳ね返したが、赤座直保、小川祐忠、朽木元綱、脇坂安治等の諸将の裏切りにより、大谷吉継の軍は壊滅した
「3年のうちに必ずや祟り殺してくれるわ!」
大谷吉継は呪詛の言葉を言い残した後、腹を切り、側近の湯浅五助によって首を斬り落とされた。小早川秀秋、赤座直保、小川祐忠、朽木元綱、脇坂安治が他の西軍に突撃し、東軍の勢いも相まって壊滅していった。壊滅していく味方に石田三成は未だに信じられない表情で見ていた
「なぜだ、なぜ正義ある我等が負けるのだ・・・・」
「殿、勝ったものが正義なのでござる。」
「認めぬ!ワシはそのようなもの・・・・」
「殿、ここは御引きくだされ、某が殿(しんがり)を致し申す。」
「左近!」
「さあ、早く!」
「す、すまぬ!」
石田三成は馬に乗り、少数の家臣たちと共に戦場を後にした。残った島左近と残りの部隊を集めた
「皆の者、ここからは先は黄泉の国への旅路だ、無理強いはせん、この場を離れ、天寿を全うせよ!」
「御家老!某は御家老と共に死にまする!」
「裏切り者どもに怒りの一太刀を浴びせとうございます!」
「殿!我等も黄泉の国へ参りまする!」
「「「「「共に死にまする!」」」」」
誰一人、逃亡する意志の者はおらず、全員、黄泉の国へ行く覚悟を決めた表情で左近を見つめていた
「ふん、我が軍はよほどの大馬鹿者の集まりのようだな。よしここからは、死出の旅路じゃ!一人でも敵を道連れにするのだ!」
「「「「「オオオオオオオオオ!」」」」」
「かかれえええええええ!」
島左近は馬に乗り、直槍を手にして、残りの部隊を率いて、追撃する東軍と衝突した。島左近率いる石田軍は死兵となり東軍に大打撃を与えた。特に被害を受けたのは黒田長政率いる部隊で後に夢にまで出てくるほどの苛烈さであったと言う
「一人でも多くの者を道連れにするのだ!」
「「「「「オオオオオオオオ!」」」」」
島左近率いる石田軍は奮戦する最中、複数の銃声が響いた
「ぐふっ!」
島左近の体に複数の銃弾が貫通し、島左近はばたっと倒れた
「と、殿おおおおおおおお!」
部下たちは島左近を安全な場所へと避難させようと試みるが、敵の足軽が島左近に目掛けて突っ込んできた
「兜首(かぶとくび)じゃあああああ!」
「討ち取れば手柄になるぞ!」
敵の足軽たちが瀕死の左近に近づくと・・・・
「ウリャアアアアアアア!」
左近は目を覚まし、直槍を握りしめ、力強く起き上がり、足軽たちを薙ぎ倒した。不意を突かれた足軽たちは恐怖で立ちすくみ、そのまま左近に討ち取られた
「ば、化け物だあああああああ!」
足軽たちは左近を恐れ、そのまま退却してった。その後、左近は再び倒れた。部下たちは安全な場所へ避難した。再び息を吹き返した左近は部下に命じた
「うう、ワシはもう駄目かもしれぬ・・・・」
「殿・・・・・」
「介錯を・・・・」
「しょ、承知しました・・・・」
部下は涙を流しながら脇差を抜き、左近の首に目掛けた。左近は目を瞑りながら最後に・・・・
「さらば、正義の御人・・・・」
「御免!」
部下にとどめを刺され、息絶える島左近。享年60歳、その後、島左近の主君である石田三成は伊吹山の山中にて山狩りをしていた田中吉政によって捕縛され、小西行長、安国寺恵瓊らと共に京の六条河原にて斬首された
「う、うむ、ここは・・・・」
島左近は目を覚まし、辺りを見渡すと一面真っ白だった
「ここは極楽か、それとも地獄か?面妖な。」
「う、ううん。」
「ん、そちは!」
左近の隣にいたのは、左近の部下で、享年55歳で戦死した元伊賀の忍びである颯馬与一(そうまよいち)だった。なぜ与一がここにいるのかは分からないが起こすことにした
「起きよ!与一!」
「う、うう、さ、左近様!御無事にございましたか!」
「いや、ワシは死んだ。死んだが、ここはどこか分からぬ。」
「某も敵に討たれ、現世を去りましたが、まさか左近様と御一緒とは・・・・」
ワシと与一は何もない真っ白の空間で途方に暮れていると・・・・
「ようこそお越しくださいました。」
突如、男の声が空間に響いた。ワシと与一は声のした方へ向くと、そこには南蛮風の着物【セビロ】を着用した6尺ほどの背丈の男がいた。ワシと与一は警戒しつつ、男を尋ねた
「主は何者だ。」
「これは失礼いたしました。私はあの世とこの世の境を管理致します裏飯(うらめし)と申します。ようこそ、島左近様、颯馬与一様・・・・」
「なぜ我等の名を?」
「はい、死んだ人間は真っ先にこちらへ知らせることになっております。貴殿方の担当はこの裏飯が担当させていただきます。」
男は名前を裏飯(うらめし)と言い、ワシらがいるのは、どうやら常世(あの世)と現世(この世)の境に位置する場所だと言う
「我等は地獄へ行く覚悟は出来ておる。さあ案内せい。」
「おっと、申し訳ありませんが貴殿方は地獄へは行きません。」
「何?極楽か?」
「いいえ。」
「極楽でもなければ地獄でもない。一体どこだ?」
「はい、貴殿方はこれより異世界に行ってもらいます。」
「異世界だと?」
「はい、貴殿方が住んでおられた現世とは別の世界にございます。左近様と与一様はそこへ行ってもらいます。」
「それは既に決まったということか?」
「はい、申し訳ありませんが。」
裏飯という男の言動からしてワシと与一は異世界なる所へ行くことになった。すると与一がワシに話しかけた
「左近様、某はどこまでもお供いたす所存にございます!」
「与一・・・・分かった。裏飯とやら、我等は異世界に行こう。」
「それはようございました。勿論、私たちも全力で御二方をご支援致します。まずは前世の記憶を継承、これから行く異世界の知識とオン・オフ機能ありの記憶容量限界なしの完全記憶能力にございます。」
裏飯がそういうと、ワシと与一の頭に異世界に関する知識が入ってきた。日ノ本とは違い、見たこともない南蛮風の建物や食事等が目に浮かんだ。完全記憶能力の影響か、昨日の事の思えるほど記憶がはっきりしている
「次に武器にございます。まず左近様はこの槍と刀を提供致します。」
まず裏飯が渡したのは朱槍(直槍)だった。日本の槍の一種で,槍身に枝刃のないものを直槍であり、特に朱槍は武勇に優れた者のみが使用できる槍である。もう一つは日本刀である
「この朱槍は任意で出現することが可能で、無限に作れます。おまけに正常な状態を維持ができます。更に任意で長槍(ちょうそう)・短槍(たんそう)・投槍(とうそう)にすることが可能です。状況に応じて使い分けることができる正にうってつけの武器です。もう一つは見た目は普通の日本刀ですが、特徴は決して刃毀れせず、血脂を残さず、直槍同様、無限に作れ、切れ味が抜群の刀にございます。手裏剣の方も無限に作れます。」
「それは誠か?」
「はい、是非、使ってみてください。」
島左近は朱槍を手に取り、念じると自由自在に長槍・短槍・投槍に変わった。試しに投槍にし、投げてみると、放たれた矢と同じ速度で遠くに飛んでいったのである。念じると再び朱槍が手元に戻った
「うむ、これは良き名物だ。」
「ありがとうございます。日本刀と手裏剣の方ですが異世界に行った際にご使用くださいませ。」
「ああ、そうする。」
「与一様にはこの忍び道具を提供いたします。」
裏飯が与一に提供したのは忍び道具であり、忍刀、苦無、手裏剣、煙玉、爆雷筒、吹き矢、弩等が出てきた
「この忍び道具も無限に作ることができ、正常な状態を維持することができます。忍びである貴方様に相応しいと思います。」
「それは忝い。」
「次にこの羅針盤を授けます。目的地へ行く方向を示します。」
「それは良い。土地勘がないゆえ苦労するからな。」
「更に若返りと病気にかからない強健な身体を授けます。」
「何と若返ることができるのか!」
「勿論ですとも、最後に異世界に使う資金100万エン(日本円で100万円)と携帯食と水と薬と簡易厠(かんいかわや)多くの荷物を収納できる無限収納箱を提供いたします。」
「それは忝い。金がなければ食料や水、薬、おまけに厠まで提供してくださるのか。」
「はい、私の仕事は異世界の生活を円滑に進めることです。」
「何から何まで忝ない。」
「特典は以下にございます。」
【転生特典】
①朱槍(直槍)&日本刀&手裏剣「島左近専用」
②忍具一式「颯馬与一専用」
③資金「100万エン」&水筒&携帯食&薬&簡易厠(簡易トイレ)
④羅針盤
⑤異世界の知識
⑥前世の記憶の継承
⑦若返り&病気にかからない強健な身体
⑧無限収納箱
⑨記憶容量限界なしの完全記憶能力(オン・オフ切り替えあり)
「では左近様、与一様、貴方方をシュバルツ王国という地へ送ります。身分証や仕事と適正については現地のギルド(組合)に行ってください。そこで貴殿方の適正と仕事が見つかり、身分証を発行することになっています。もし身分証の事を聞かれたら、無くしたと、そのまま伝えてください。」
「相分かった。」
「裏飯殿、忝い。」
「では逝ってらっしゃいませ。」
裏飯に見送られながら、ワシと与一は異世界へと向かうのであった
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