入寮します! 1

side:水瀬遥


内部生は中等部を卒業するとともにもう既に入寮しており、高等部から入学する外部生は、入学式前日に一気に入寮する決まりとなっているらしい。


2人で1部屋らしいので、同室の人がいい人だったらいいなあ、と思いつつ指定の門前で待つこと10分。




『うーん⋯。ちょっと早く着き過ぎた?』




誰も来ない。





『ってゆーか外部生って何人いるんだろ。思ったより編入試験簡単だったし結構いるのかな。沢山居たら案内してくれる人も大変だろうなぁ⋯⋯。』



そんなことを呟きながら、暇なので門に背中を預け、携帯をポチポチしながら待っていると、坂下から外部生らしき人達が何人か楽しそうに話しながら歩いて来たので、目立たないようにそっと横にずれて再度携帯をいじることにした。




(もう友達になったのかな?コミュりょくつよつよじゃん⋯怖ぁ⋯⋯。)



僕は人見知りなので、あんなふうに出会ってすぐお友達!とはなれない。

家族とチームの皆の前以外で、僕の笑顔の表情筋はあまり働かないのだ。


よくおにぃに、困り顔になってんぞって言われてた。



そのかわり、懐いてしまえば僕の表情筋はゆるゆるになるらしい。

意識していないので、勝手にそうなっちゃうんだけど、シロさんの前で初めて笑ったらしい時に、


「え??ハルが笑った⋯⋯?え?かわ⋯っ」



って、ちょっと何言ってんのかよく分かんなかったけど、なんか凄く真っ赤になって動揺された。



なんかすぐにおにぃにド突かれてたけど。あれは痛そうだった。



人間関係を円滑に築く為にも、笑顔はマスターしたほうがいいのかなって悩んだけど、おにぃもシロさんもそのままでいいって言うからさ、まぁいっかって。


別に広く浅く友達が欲しいってわけじゃないし。




そんなことをツラツラと考えていた時だった。






「あの⋯⋯君も外部生の子かな?」






楽しそうに話していた外部生らしき人達の中の、これぞ爽やか君って感じの人に話しかけられてしまった。え、どうしよ⋯。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る