王道学園に編入します! 3

side:水瀬蒼



「あ、おにぃ!ちょうど良いところに!桜華学園うかったよぉ〜!」


授業を終えて大学から帰宅して早々、弟の遥から軽い感じで報告を受けた時、正直俺は複雑な気持ちだった。



遥なら受かって当たり前!という誇らしい気持ちと


遥があのゲイ6割、バイ3割、ノンケ1割っつー危険極まりない学園に入学すンのかってゆー心配。



なんとか笑って


『遥なら受かると思って心配してなかったよ。おめでとう、頑張ったね』


って頭を撫でた時の遥の花が綻ぶような嬉しそうな笑顔を見て、また心配が膨れ上がりすぎて思わず学園の説明をして、BL漫画を読めって渡したら、割と本気で引かれた。


にぃちゃんは心配なだけなのに⋯悲しい。





俺は自他共に認めるブラコンだが、そんなの関係なく遥の顔は整っており、とても美人だ。



天使の輪が出来ているサラサラと揺れる艶やかな黒髪。透明感のある雪のように白い肌。少しつり気味の大きな瞳は琥珀色の黒目が光を受けてキラキラしており見つめると吸い込まれそうだ。

目尻には泣き黒子が控えめに主張し、年齢に似合わない色気を醸し出している。


スッと通った小ぶりな鼻にぷっくりとした少し小さめの血色のいい薄紅色の唇。


無駄な肉のついていない引き締まっている猫のようにしなやかで小柄な身体。



普段は凛とした少し冷たい雰囲気で近寄り難いが、気を許している人に向ける笑顔は花が綻ぶような甘さを含む。



この笑顔を向けられたら最後、どんなやつでもイチコロだと思う。いやまじで。



なのに、だ。


遥は何故か、ほんっとーーーーになぜか。




自分の顔を平凡よりは少し良い程度、だと思っている。




一度、なんでそう思うのか聞いたら


「だって父さんもにぃちゃんもめちゃくちゃイケメンじゃん。僕にもその顔面分けて欲しいんだけどぉ〜。それに僕、女の子に避けられてばっかだし。そんなの自信なんて持てるわけなくない???あ、でも目元はにぃちゃんに似てるって言われるからそこは自信あるよ!」



って言われた。


確かに親父は渋い男前だし、俺も親父に似てるってよく言われるから多分そうなんだろう。


ただ単に系統が違うだけなのだ。


遥は母似だ。

母は元々あまり体が強くなかったから遥を産んですぐ亡くなってしまったけど、儚げな美人でとても優しい母親だった。


そんな母親の遺伝子をガッツリ受け継いだもんだから、女の子には隣に並びたくないって避けられ続けて拗らせたんかな。



まぁ遥は次男だし、俺みたいに許嫁が居るわけじゃないから、ゆっくり相手を見つければ良いと思っている。



ーーーーー⋯⋯俺を納得させられるような奴じゃないと許さないけどな。




あぁ⋯⋯心配だ。

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