1話 日常?

 私は今日、中学校を卒業した。入れ替わりで来年度妹が入学する。

 少しかわいそうではあるが妹の制服や体操着などは私のおさがりということになる。

 (私なら親に泣きついてでも新しいものを媚びるだろうな…)

 そんなことを考えながら家へ向かう。

 「おーーーーい!!!!!」

 後ろから叫び声が聞こえた。

 三年間隣で聞いてきた声だ。

 「最後の日くらい帰るの待ってくれてもいいじゃん!?」

 私の親友?というか勝手についてくるだけだが。

 彼女の名は高橋みくる。なんというか元気でみんなから好かれるような子だ。

 「ごめんごめん!なんも考えないで歩ってたよ」

 「それちょっとひどぉ~い…」

 「ごめんって」

 「まあ高校も同じだし?いいけど」

 そっか高校もいっしょなのか。私としてはうれしい。

 勝手についてくると言っといてなんだが、私は彼女が結構好きだ。

 断じて百合ではないが。

 しばらく二人で他愛もない雑談をした後、

 互いに手を振って別れる。

 自分の生活している家が見える。親はまだ家にいないようだ。 

 どうせほかのママ友とかと学校で話し込んでるのだろう。

 玄関の前で鍵を探していると、

 ガチャ…

 「ん?」

 鍵が開いた。そして、

 「お帰りお姉ちゃん!」

 妹がドアを開け笑顔で言ってきた。

 かわいい。 

 「ただいま。奏」

 ありきたりな言葉を交わし、家に入る。

 奏が

 「お姉ちゃん、今日ね。あたしね。well companyでねACEとれたの!

すごいでしょ?!」

 ソファーに座っていた私の上にわざわざのってきて言った。

 「初めてのACEだよね?」

 「うん!!!」

 「すごいじゃん!!」

 といって奏の頭をなでる。

 これが私たちの日常だ。ちなみに well company というのは私たちがはまっているゲームのことだ。

 私がおすすめしたら奏もどっぷりハマったらしい。

 「お姉ちゃん!あとでいっしょにやろう!」 

 「もちろん!でもまだまだ奏じゃあ私に追いつけないかもね?」

 「そんなことないもん。あたしだって強くなってるもん!」

 「まあまあ、私を超すのはいつの話になるかなぁ?」

 そんな姉妹の平和な会話をしていた。

 「ただいまー」

 母が帰ってきた。 

 「おかえり~」 

 私と奏はぴったりのタイミングで言った。

 母があきれたように言う。

 「奏。あんた来年から中学生なんだから学校いってね?

お姉ちゃんを見習いなさい。」

 「ママ。なにも帰ってすぐにそんなこといわなくてもいいじゃん。」

 と、私は言うが奏は本当に学校に行ってないので内心母と同じ気持ちだ。

 「駄目だよ。甘えちゃ。学校はみんなが行くものなんだから。」

 「なるべく努力するよ…あはは…」

 奏は頬を掻いていうが正直笑い事ではない。

 「おねがいね。」

 「はぁーい」

 こいつ絶対わかってないな。

 そんな感じで雑談をしていた。

 夕食を済ませ、入浴が終わった。

 そして奏とゲームをし、無事わたしが圧勝し、奏が悔しがっていたところ、母が部屋に入ってきて、

 「もう寝る時間だから寝なさい。」

 「はぁーーい」

 私たちは素直に言ういことを聞きそれぞれの部屋でベットに入った。

 布団の中で私は、

 (そういえば私今日で中学生終わったんだっけ)

 実感が全くない。

 そんなことを考えながら眠りについた。

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