(三)-3

 私たちが返事できないでいると、アブラゼさんはすぐにチェン氏に話を続けた。

「ありがたく全て頂戴しよう」

 その直後に背後から別の声が聞こえた。

「みんな。どこにいたんだよ」

 声の主は「情報屋」のエフゲニー・ゴンチャロフだった。

「何の用ですか、エフゲニー」

「明日また、大統領が演説するらしい。場所は昨日と同じところだ」

「立て続けに?」

 デニスは驚いた様子だった。

 私たちが呆気にとられていると「とりあえず、お食事を用意しました。朝早かったからお疲れでしょう。一休みしてはいかがですか」とチェン氏に隣の建物へと案内された。


(続く)

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