第14話『縁もゆかりも』
紫には、姉がいた。
「
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夕暮れと呼ぶには少しばかり暗すぎる帰路を、紫は早足で歩いていた。
先程、紫のもとに入った母からのメッセージ。そのたった一文の短い言葉が、どうしようもないほどに紫の胸をざわつかせ、煽る。この焦燥を前に、じっとしていることなんてとても出来なかった。自然、紫の歩調は速くなる。
けれど、駆け出すことはしなかった。
だって、駆け出してしまったら、それだけ早くに母の言葉を確認することになってしまうから。そうなれば、自分が平常な感覚ではないことを自分自身に知らしめるだけだと分かっていたから。
急ぎたい。でも、急ぎたくない。
そんな、矛盾した思いを抱えながら、紫はまるで不格好な競歩選手か、あるいは下手くそな操り人形みたいに、ぎくしゃくと暗い路地を進む。視線も背筋もいやに真っ直ぐで、傍から見れば不自然な歩き方だ。紫自身も、それを自覚していた。
己をごまかすように、紫はファニーに話しかける。努めて明るい声で。
「ねえ、ファニー」
『イエス、マイハニー』
「王子様は、もしガラスの靴がなくても、シンデレラを見つけられたかな?」
『質問の意図が不明です。マイハニー』
「そうだよね。ごめん。変なこと聞いて。……ねえ、変なことついでに、もう一つ聞いていい?」
『イエス』
「わたしは、王子様になれるかな?」
『ノー。貴女はいついかなる時でも
「……そっか」
その問答は、意味のないものだった。自然に、普段どおりであろうと他愛ない会話をしてみたけれど、結果としては自分の心身の不自然さが際立ってしまっただけだ。
それきり、黙って歩いた。
歩調は、少しばかりスムーズに早まる。
△▼△▼△▼△
ふと、紫は思い出していた。
昔のこと……あれはいつのことだっただろうか? 制服を着ていなかったから、小学生の頃であるのは間違いないとは思うけれど。ああ、そうだ。あのとき、制服を着ていたのは縁の方だった。今の紫と同じ、日彩学園の制服を彼女は着ていた。
紫と縁は、4つ違いの姉妹だ。
仮に、スクールカーストがあったとして────紫は、決してそのピラミッドの上位に位置するような小学生ではなかった。
物静かでおとなしい、悪く言えば目立たずノリの悪い子供だった紫は、いつもクラスの中心とは縁遠かった。かと言って、勉強ができたりするかといえばそういうわけでもなく、得意なのは国語くらいのものであって、理数系……とくに算数はからきしだった。運動も、決して嫌いではなかったが、いざ記録を見てみると下から数えたほうが早い。休み時間にはクラスの大勢が盛り上がるドッヂボールに参加せず一人で児童文学を読みふけり、放課後には友達の家にも行かず一人自宅で宿題に勤しむ。そんな生活を送っていた幼い紫には、友達が少なかった。
当然の摂理だ。こどもたちのコミュニティ、その唯一にして絶対の法律は「でかいやつが勝つ」。でかい、というのは例えば体だったり。声だったり、あるいは態度だったりするのだけれど。そのどれにも当てはまらない紫には、こどもの世界はあまりにも険しかった。数十の児童が同じ室内にいて、数百の児童が同じ屋内にいる、いくらでも同年代の他者と接することの出来る学校という環境下において、紫は基本的に一人だった。
そんな中、行われた修学旅行。
無事、紫は何事もなく全日程を終了した。
そう、何事もなく。
修学旅行といえば、いわば小学校生活の集大成とも言えるイベント。6年間を共に過ごした級友たちと、普段とは違う環境に身を置き一緒に寝泊まりをする、非日常的な体験。多くの小学生はこのイベントを楽しみにし、友達との思い出づくりに励む。
けれども、紫は残念ながら『多く』の括りには入らなかった。その二泊三日の旅程を、紫はほとんど一人で過ごした。
明確に仲間外れにされたわけではない。全体行動や班行動は何も問題なかったし、意地悪をされたわけでもない。自由時間に、紫は誰からも誘われず、誰も誘わなかった。それだけのことである。
だから、紫はこの件に関して、ちっとも嫌な思いをしたとは思っていない。むしろ逆で、紫は一人でも修学旅行を満喫した。それも大いに。一人で普段食べない料理を楽しみ、一人で普段とは違う寝床にドキドキする。一人で観光名所の写真を撮り、一人で迷子になって一人で解決した。修学旅行は楽しかったか、と問われれば、当時の紫は何の迷いもなく首を縦に振ることだろう。
……結果として、2000枚余りにもなる修学旅行の写真──旅行中に教員が撮ったもので、後ほど親兄弟が学校に買いに来られるようになっている──に、全体写真以外で紫の写っているものは数えるほどしかなかった。それも、多くは他の児童が写っている写真に写り込んでいたり、見切れていたりするものばかり。まともに写っている全体写真でさえ、紫は何の面白みもないプレーンな真顔で撮られていた。これが証明写真の撮影ならば満点だが、記念写真としては赤点だ。
「ええっ、紫写ってる写真ないじゃん! うっそお!」
修学旅行の写真を買いに、小学校へ写真を見に来た縁の反応は至極当然なものだった。
両親が仕事で忙しく、家を留守にしていることが多かったので、こういった機会には姉が来てくれることのほうが多かったのだ。このときも、学校帰りに姉が来てくれていた。
それにしても、フォーマルな格好をした父兄が多い中で、制服姿の女子高生は相当に浮いていた。縁はオレンジメッシュのくせっ毛という、目立つ髪型をしていたから余計に。そのため、縁が、うっそお! と声を上げたときには何事かと周囲に注目されてしまった。普段はあまり受けることのない視線に、縁と一緒にいた紫は少し恥ずかしくなる。
はにかみ苦笑しながら、なんでもないですよ、と周囲に軽く頭を下げた縁は、紫に耳打ちする。
「ちょっと、紫の写真全然ないじゃん、どうなってんのっ」
「うん、ないよ」
「ないよ、って……はぁ。全くこの娘は」
縁は呆れたように肩をすくめてみせた。
「トラブルとか迷子とか、なんかあったら困るから他の人となるべく一緒にねって言ったのに」
「うん、でも、大丈夫だったよ。一回、迷子になったけど」
「ほれみたこと……かっ」
「うっ」
てしっ、と頭に軽く手刀を食らう紫。かけていた眼鏡がずれて、だいぶ間抜けな格好になる。縁はそれを見て、思わず吹き出した。
「んふふッ、あっ、まって紫、直さないで! それめっちゃ変! 超面白いから!」
縁は紫を留めると、スカートのポケットからスマートフォンを取り出した。当時の最新モデルで、カメラやオーディオの性能が高いらしく、銀色のシャープなフォルムがかっこいい。スマホのインカメラ機能をオンにした縁は、紫の肩を引き寄せるようにして顔を近づけた。紫の表情を真似た縁は、顔の横にピースサイン。
「ほら、紫も!」
促された紫も言われるがままにフレームイン。そして……パシャリ。縁がシャッターを切った。
ずれた眼鏡を直しながら、たった今撮った写真を紫は覗き込む。可愛い、というよりはやはり面白い、という表現のほうがしっくり来る自分の間抜けな表情に、紫は笑う。
「あはは、ほんとに変なの!」
紫の反応を見て、縁もにぃっと笑う。
「でしょ~? うんうん、やっぱり最高! 修学旅行の写真がなかったのは残念だけど、別に修学旅行じゃなきゃ写真を撮っちゃいけない、なんて決まりはないもんね」
「どういうこと?」
意味がよくわからなくて、尋ねる紫に縁は眉を吊り上げて答えた。
「思い出はいつだって作っていいんだよ、紫。わたし達にとっては、これも『修学旅行の記念写真』ってこと!」
それを聞いても、紫は完全に縁の言いたいことが理解できたわけではなかったけれど、姉の笑顔は何よりも説得力に満ちていて、一も二もなく頷いた。
「さて、全体写真だけ買って帰ろうか。今日の晩ご飯はお母さんの筑前煮だよ~」
「やった」
その夜に食べたご飯が、旅先で食べたものよりもずっと美味しかったことを覚えている。
△▼△▼△▼△
縁は、いわゆる天才肌と呼ばれるタイプだった。
器用で要領がよく、物覚えも早い。授業を聞いているだけで高得点を叩き出し、初めて取り組む物事でもすぐにコツを掴んで経験者ばりにこなしてしまう。それに加えて、気立てがよく顔立ちも整っていると来れば、彼女が周囲から好かれるのは自明だった。
紫が中学生の頃には、縁には大勢の友達がいた。クラスメイトや同じ学校の生徒は勿論のこと、他校の生徒だったり、年齢や職業すらぜんぜん違う知り合いも多かった。一体、どこで知り合ったのかと思うほどの人脈の広さを目の当たりにして紫は驚くと共に、姉妹2人で過ごす時間が自然と少なくなっていたことに一抹の寂しさを感じてもいた。だからこそ、だろうか。高校受験を前にして紫が志望したのは、姉と同じ私立
紫の成績が上がってきたのはこの頃からだ。何としても縁と同じ学校に通うべく、寸暇を惜しんで勉強した。
はじめのうちは中々成績が上がらなかったけれど、紫は諦めずに勉強し続けた。愚直なまでのトライ・アンド・エラー。持ち前の真面目さとひたむきさをフルに活かし、徐々に、だが着実に成績を伸ばしていく。
縁を早熟型の天才と評するのなら、紫は晩成型の秀才だった。
結果が出ないことを恐れない精神、新たな知識ややり方を身につけることを苦としない在り方。「コツコツ積み上げる」ことに対して、紫は誰よりも才能を持っていた。
時に、姉に勉強を見てもらうこともあったが、彼女は覚えるのは得意でも教えるのは苦手なようで、あまり参考にはならなかった。それでも、紫にとっては、問題を解いては「すごい!」と褒めてくれ、テストの点が上がっては「えらい!」と頭をなでてくれる縁と一緒にいられる時間が、何より嬉しく、尊い時間だった。合格したい、という気持ちよりもむしろ、姉に喜んでもらいたい、という気持ちのほうが勝っていたかもしれない。
それくらい、紫は縁のことが好きだった。
△▼△▼△▼△
「は……っは……っ」
『ニー……ハニー……マイハニー!』
「はッ!」
頭の中に直接送られてくるかのような合成音声に、現実へ引き戻される紫。
すでに辺りは夜と呼んで差し支えない。暗闇が我が物顔で鎮座している。いつから、どこまで歩いてきたのだろうか? 頬にはぬるく、じとっとした汗が伝い、鼓動はやかましいほどに己の存在を主張する。息も上がっていて、浅い呼吸で何とか酸素を脳に運んでいる。
「わたし……」
『マイハニー、深呼吸を。心拍数が上がっています』
「う、うん」
ひゅー、はー。ひゅー、はー。
喉のどこかで引っかかるような、かすれた音が自分の喉からこぼれてきたことに驚いた。けほけほっ、と軽く咳をして、今度こそきちんと深呼吸をする。
すー、はー。すー、はー。
落ち着きを取り戻した紫は、ファニーに問う。
「わたし、走ってた?」
『イエス。こちらの呼びかけにも応じていませんでした』
「そっ、か……」
自分では、冷静なつもりだった。でも、それはやっぱりただのつもりでしかなかったらしい。結局、逸る気持ちに負け、自分でも意識していないほどに駆け出してしまった。一心不乱に。
胸元に手を当てる。走るのをやめて、深呼吸もしたはずなのに、相変わらず心臓がドクドクと早鐘を打っている。……これはきっと、いや、絶対に。走ったからだ。自分でも訳がわからないくらい、無我夢中に駆けてしまったからだ。まだ、体力が回復していないだけだ。きっと、絶対、そう。体中が内側から燃やされるように暑いのも、嫌な汗が全然止まらないのも、ただの代謝だ。自然な体の反応に過ぎない。何も問題は無い。何も、何も……。
『マイハニー、自宅まではすぐです。まっすぐ帰還しますか?』
どくん、と。
ファニーの言葉を聞いた途端、心臓の音が一際大きくなった気がした。体中に血流がめぐる。指先にじんじんと震えを覚える。体の熱は増すばかりだ。震える指先で眼鏡を押し上げ、震えた声で言った。
「帰る」
『イエス、マイハニー』
それきり、ファニーは黙ってしまった。何も言うことがなくなってしまったのだろう。それは、紫も同じだった。この帰路、何度目の沈黙だろう。
家までのほんの100メートルにも満たない短い距離を、黙って歩く。いつも通りの道のりがいつも以上に長く感じるのは、夜闇のせいか、沈黙のせいか。
「ただいま」
自宅の玄関前にたどり着いた紫は口の中で転がすように、小さくこぼす。
何度も開けてきた、馴染み深いドア。それが今では、試練の門に思えてならない。先に困難があると分かっていて、それでも勇気を振り絞って開けなくてはならない、そんな門に。まるで、ドアそのものから圧倒的な重力が放たれているような、そんな感覚にすら陥る。
紫は、自身の中にネガティブなプレッシャーを感じながらも、それを跳ね除けるべく、いやに重い腕を動かしドアノブを掴んだ。
家の中には誰もいなかった。外と同様に、真っ暗な室内が紫の心の暗雲の層を厚くする。普段であれば、この時間なら大学の講義を終えた縁がリビングのソファに寝そべって漫画本でも読んでいるはずなのに。今日は、お母さんがお休みだったはずだから、キッチンで料理でもしているはずなのに。
誰も、いない。
無意識的に、暗闇の中で壁に手を這わす。スイッチを探り当て、それを点けた。
瞬間的に光で満たされるリビング。一瞬、目がくらんで、白色の明滅が紫の瞼にのしかかる。
明るさに目が慣れると、リビングのダイニングテーブルの上に2枚の紙切れが置いてあるのが分かった。一枚は五千円札。もう一枚は、走り書かれたメモだった。
【紫へ おかえりなさい。メッセージは読んだ? 悪いけれど、そういうことだからお母さんは出てきます。ご飯はこれでまかなってね。 母】
『これ』というのは、書き置きと一緒においてあるこの五千円のことだろう。金額的に、一食分のものではない。母は、もしかすると今日中には戻らないかもしれない。
「……」
紫は、私用のスマートフォン──ファニーではなく、何の変哲もない普通の物体だ──を取り出し、母からのメッセージを改めて確認する。
【縁が居なくなった。早く帰ってきて。】
字面を目でなぞるだけで、胸がきゅうっと締め付けられる。全くそんなことはないはずなのに、まるで見えない手で首を締められているかのようだ。息苦しくて思わず、紫はきっちりと締めた制服のネクタイを強引に緩めた。
母はきっと、姉を探しに出かけたのだろう。あるいは、警察に事情を話しに行ったのか。いずれにせよ、『帰ってきて』とメッセージを送ってきたのに、紫が帰るまで家で待てなかったのは、それほど母も焦っていたということだろう。紫だって平静を保っているとは言えない。気持ちは痛いほどにわかる。
紫は、どうするべきだろうか。このまま、母の帰りや連絡を待つ? 母に心配をかけないという意味では、それが懸命かもしれない。姉だけでなく、帰ってきているはずの紫まで居ないとなれば、母は慌てふためくなんてものでは済まないだろう。状況が状況なだけに、パニックを引き起こしたって不思議じゃない。今は逸る気持ちを抑えて、待つ。冷静に考えれば、それが正解であることは理解できた。普段の紫なら。
優等生で、物分かりがよく、真面目な副会長。それが、普段の紫だった。しかし、今の紫は『普段』通りではない。
その『普段』は紫が、成長に従って身につけていった後天的な対人手段。精神のドレスコード。本来の紫は、姉を慕い、要領が悪くて、自分の世界にこもりがちな少女だ。この非常事態において、紫の心はドレスを纏う余裕がなかった。むき出しの感情、むき出しの心。紫の心は今、丸裸も同然で、舞踏会でガラスの靴を落としたシンデレラのように、姉のことだけが気がかりだった。
紫は、書き置きをテーブルの上に戻し、リビングを出た。薄暗い廊下を進み、鍵のかかっていない部屋に入る。縁の部屋だ。
部屋のあちこちには、縁お気に入りの雑貨や小物が沢山置いてある。クローゼットや引き出しをあちこち開けてみたけれど、不審な点はなにもない。いつも通学用に使っているバッグがないくらいだ。
ぼんやりと、紫は縁の部屋を見回す。机、本棚、ベッドに時計……ふと、紫の視線がある一点で止まった。ホワイトウッドの箪笥の上に置かれた、アクセサリーケース。見れば、その蓋は半開きの状態だった。おや、と紫は訝しむ。
縁は意外ときれい好きだ。物は多いけれど、部屋はいつだって整頓されている。それに、縁の性格上、可愛らしいものや、キラキラしたものは特に大切にしまっておくはず。そんな縁のアクセサリーケースの蓋が、しっかりと閉じきっていないのはおかしい。
ケースを開けてみると、そこには大ぶりなブローチがあった。緑色の石……エメラルド? が金色のフレームで縁取られており、なかなか高級感がある。どうやら、このブローチを入れていたせいでケースが閉まっていなかったようだ。
「あれ、でも、このブローチ……」
紫はブローチを持ち上げ、思案する。
縁は、こんなブローチを身に着けていたことがあっただろうか? 少なくとも、紫の記憶にはない。でも、これそのものはどこかで見かけたことがあるような……
『マイハニー』
考えていたら不意に聞こえてきた合成音声に、紫はスマートフォンを取り出す。
「どうしたの?」
『そのブローチから、微かにですがシグマニウム反応が感じられます。系統としては、マギアペトラに近い波長です』
「────っ!!」
マギアペトラ。それは、変身した魔法少女の衣装に含まれる、宝石状のアクセサリー。紫の変身時にも、パープルのマギアペトラが胸元に現れる。既視感があると思ったら、それか。いや、待てよ。それよりも。
これがここにある、ということの方が問題だ。
マギアペトラは魔法少女、もっと言うならシグマニオン由来の物体だ。いくら縁が広い人脈を持っていようとも、本来であるならば魔法少女でない縁のもとにあるだなんてありえない。となると、こういう風に推測するしかない。
縁は魔法少女、あるいはシグマニオンと接触した。
身の毛のよだつ思いだ。顔から血の気が引いていくのがわかる。紫は、体が震え出さないように唇を噛んだ。拳を強く握る。
縁の失踪と、部屋にあったマギアペトラ。これらが無関係だとは思えない。
もし、本当に縁が『こちら側』の何らかに巻き込まれたのだとしたら。それは、母や警察の手に負えるものではない。もっと専門的な、それこそ、ICDPのような機関でなければ、命の保証も……いや、これ以上は考えたくもない。
「……行かなきゃ」
紫はつぶやいて、縁の部屋を出た。エメラルドの
△▼△▼△▼△
紫には、姉がいた。
縁という名の、明るい姉が。
今は、居ない。
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