戻ってきて
雪花の家に再び戻り2週間が経つ。ありがたいことに、安定した売り上げを出しながらも余裕を持って作業することが出来る様になってきた。季節に合わせた新メニューの開発を続けて、納得のいくものを完成させるのはかなりの労力がいるが、それも楽しく感じる。学生だった頃学園祭の準備をしていた気持ちを思い出す。苦労して出来たものがお客さんに喜ばれているのを見ると達成感で胸が満たされる。
「鈴ちゃん、そろそろ休憩いったら?」
「うん。じゃああとはよろしくね。」
雪花の勧めに従い、奥に戻って休憩することにした。明日の休日は雪花とツーリングをする予定だ。まだバイクで行ったことのない所が多く、鈴河はツーリングをとても楽しみにしていた。昼食を食べながら近くに良さそうな道はないかと航空写真で近隣を調べる。街から出て少しのところに、この前雪花と通ったワインディングが見えた。景色も良く、走っていて楽しい道だったが、今回は別の道を通るらしい。一体どんなところに連れて行ってくれるのだろう。昼のポカポカした暖かさに当てられてわくわくした気分が抑えきれない。
終業後、片付けを終えた鈴河たちは明日に備えてバイクの準備をしていた。タイヤの空気圧を適正にし、ネジなどに緩みがないかチェックする。摺動部にはグリスをさしてあるので動きに問題は無さそうだ。
「よし、準備できた。雪花は大丈夫?」
「こっちも出来たよ。これで明日朝起きてすぐに出発できるね!」
「じゃあ今日は早めに寝て明日に備えよう。日が登ったら出発ね。」
「了解っ。お風呂沸かしといたから鈴ちゃん先に入っていいよ。」
「ありがとう。じゃあお先に。」
ぬるめの湯船に浸かって体をじんわりと温める。最近は夜風の冷たさも弱まり、寧ろ心地良い。
「明日も良い日になりますように。」
と鈴河は月に祈った。
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