また新しい1日の始まり。
日が長くなり、雪も溶けてなくなった。鈴河は雪花と叔父を送り出し、スイーツの仕込みをしていた。数種類のフルーツを手際良くカットし、クリームをたっぷりと湛えたタルトに色彩と形のバランスをとりながら組み込んでいく。飲食スペースを開放するまでには十分な数を用意できるだろう。今日は叔父がいないのでコーヒーとスイーツのみの営業だから自分1人で何とかなりそうだ。何より、長い冬が終わってようやくやってきたツーリング日和。車検にも出して完璧に準備が出来た雪花の母のバイクにぴったりの門出だ。朝2人を元気よく送り出した時の雪花の弾ける様な笑顔と照れた叔父の顔を思い出すと、温かい気持ちになる。今日は2人に心ゆくまで楽しんできてほしい。
「2人が安心して楽しめるように私も頑張るぞ!」
自分に言い聞かせる様に檄を飛ばす。
焙煎したばかりの豆を使って今日の出来を確かめる。やわらかな空気に漂うコーヒーの香り。味も解像度の高さと優しさを両立できている。上出来。
今日もきっといい1日になる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます