頑張れ私 ミッション5


「人類最大の発明とは何か」

 私はこれがこの世で最もポピュラーな主題の一つだと考えている。合コンの席で語られる事があれば、新婚初夜の夫婦が寝ぼけ眼に朝まで討論してしまう話題ともなり得るだろう。新たな物や方法の発見。たゆまぬ発明によって人類は現代まで発展を続けてきたのだ。

 では、実際に人類最大の発明とは何だろうか。外気から身を守る衣服だろうか。はたまた、外敵から身を守る剣だろうか。

 確かに剣などは敵を倒す武器となれば、獲物を狩る手段ともなり、そして、住居や衣服を作る道具としても使え、料理にも併用出来るといった優れものである。世の識者たち中には車輪こそが最大の発明であると宣言する者がいて、また、貨幣制度こそが最大の発明だと豪語する者もいる。火や電気は果たして発明たり得るのか。そもそも、発明という概念こそが人類最大の発明なのではなかろうか。

 かの有名なアルベルト・アインシュタインは複利こそが人類最大の発明であると明言したそうだ。複利とはいったい何なのか。普通の女子高生である私には想像もつかないが、あのアインシュタインの言葉なのであれば一理あるのだろう。何故ならば、あのアインシュタインだからだ。勉強が苦手な私ですら知っているような有名人なのだ。そんなアインシュタインの言葉ならば何かしらの深い意味が込められている筈なのである。アインシュタインが何を発明したのかは忘れてしまったが、とにかくそれほどまでに凄い有名人が複利を人類最大の発明と宣言してしまったのだ。

 まったく、複利とはいったい何なのか。一般人である私にも分かるように説明してくれ。そんな一般には浸透していないような言葉を人類最大の発明としてくれるな。まったく、アインシュタインめ、お前のせいで議論が混沌としてしまうではないか、まったく……。

 人類最大の発明は何か。

 これほど世間を賑わせ、人々を悩ませてきたテーマは他に無いだろう。果てない討論の末に破局してしまったカップルも少なくない筈だ。そんな哀れな男女をこれ以上生み出さない為にも、私はこの下校中の通学路にて議論を終わらせてしまおうかと思う。

 人類最大の発明は言葉である。

 今日ここに私はそう宣言する。

 まだ青い空に重なる道路標識も、私の前を歩く水島涼太と栗山璃子が交わす声も、全ては言葉の産物なのだ。識者であり常日頃天才の片鱗を垣間見せている私の宣言だから間違いはないだろう。言葉があったからこそ人類は過去に学び、互いの意見を交換し、より広く深く知識を深めていくことが出来たのだ。そうして深めた知識がより深い思考の媒体となり、そして、その中でも更に深く深く思考を進められた者が新たな発明をこの世にもたらす事となったのだろう。つまり人類は言葉と共に発展してきたのだ。言葉こそが人類を地上の支配者たらしめたのだ。

 新婚夫婦よ、すまない。どうやら私は君たちの夜の話題を終わらせてしまったらしい。もう君たちは人類最大の発明が何かという話題で朝まで語り明かすことは出来ないだろう。人類最大の発明は言葉だったのだ。私の宣言により議論は終わってしまったのだ。かのアルベルト・アインシュタインも驚きのあまり目を更に大きく見開き、舌を更に長く下に伸ばしていることだろう。アインシュタインよ、すまない。君の発明に幸あれ。

「ねぇ美雪ちゃん、久しぶりに公園行ってみない?」

 突然こちらを振り向いた璃子に慌てた私は下を向いた。リュックのショルダーハーネスに指を掛けたまま俯きがちに歩く私に視線が注がれる。それがどんな視線なのかが分かっていた私は、クッと下唇を突き出すと足下をゆっくりと通り過ぎていく小石に意識を集中した。

 例えば全てに魂が宿っているとして、地面に散らばる小石の魂はかつての石の魂の欠片なのだろうか。それとも石から欠けた小石には新たに別の魂が宿るのだろうか。もしも単に精神が分離するだけだったとして、小石たちの中には似た考えを持つ者が……。

「美雪、ほら」

 ピトッ、と冷たい感触が頬に伝わると、体に電流が走ったような衝撃に私の口から「ひゃ!」という悲鳴が飛び出した。頬を押さえた私の手の甲にまた冷たい何かが当たると、腕を振って後ろに下がった私はギロリと涼太を睨み上げた。

「な、な……」

「ほら、飲めよ」

 目に飛び込んできたのはペットボトルの青いラベルだった。水滴に覆われたアクエリアスの霧のような中身が夏の日差しに白く透けている。顔を上げて辺りを見渡した私はやっとそこが公園の中だということに気がついた。揃えられた芝生の上で幼稚園くらいの子供たちが体の半分もあるようなピンク色のボールを投げ合っている。入り口には白い自販機が設置されており、どうやら涼太はそこでアクエリアスを買ったようだ。

「ほら、栗山さんも」

「あ、ありがと!」

 涼太はアクエリアスを三本買っていた。俊足である。いや、俯きながら歩く私のペースが遅過ぎただけなのかもしれない。青いラベルの涼しげな様相に喉の渇きを覚えた私は、俯きがちにおずおずと渡されたペットボトルを掴むと頭を小さく縦に動かした。結露した水が手首に滴る。心地良い冷たさだ。私は「ありがとう」という言葉を呟こうと口を開いた。だが、声は出てこなかった。最大の発明も使いこなすことが出来なければ無意味である。私は昔から言葉を扱うことが苦手だった。

 公園の中央は低い丘となっていた。丘の上では大きなナラの木が風に揺られており、空に広がる青々とした葉が、木の側にこっそりと置かれた簡素なベンチに淡い影を伸ばしている。

 丘を上がってベンチに端に腰掛けた私は遠くの空の入道雲を眺めながら喉を潤した。リュックサックを地面に下ろした涼太が反対の端に座ると、私と涼太の間に璃子の小柄な体がすっぽりと収まる。そうして私たちは暫く無言のまま静かな木漏れ日の明暗にまどろんだ。

「それにしても長谷川くん、ちょっと酷すぎるよね」

 ベンチにもたれ掛かった璃子の瞳が枝の隙間の光に細くなる。太ももにひじを置いて前屈みに丘の下を眺めていた私は視線のみを横に動かした。

「美雪ちゃんに好かれてること知ってるくせにさ」

 蝉の鳴き声が街の向こうに飛んでいく。日中のあの油を揚げるような蝉の音とは違い、日暮れ時の蝉の声は何処か物寂しげで涼しかった。アクエリアスの潤いと相まってか、私の背中を流れる汗が一気に冷たくなる。まるで凍えるような爽快感である。

 いや、あまりにも冷たいな。悪寒すら感じるぞ。まさか風邪を引いたのだろうか。それともこの公園は冷房が効き過ぎているのだろうか。夏真っ盛りとは思えない異様な寒さだ。異常気象だろうか。デイ・アフター・トゥモローなのだろうか。この世界はこのまま氷河期に呑まれてしまうのだろうか。

「ね、水島くんも長谷川くんのこと酷いと思うよね?」

「あ……え……?」

「好きな人からあんなこと言われたらさ、誰だって泣いちゃうよ。ほんと美雪ちゃんかわいそう」

「あ、えっと、うん……ええっと……」

 あまりの寒さに涼太の唇も固まっているようだ。天才型とは思えぬ程に歯切れが悪い。やはり異常気象なのだろうか。明後日の世界は白銀の中なのかもしれない。胸の奥底まで冷え切ってしまった私の全身の産毛という産毛が逆立っている。いったいこの悪寒は何なのか。そして、なぜ璃子だけは平然としていられるのか。リスって冬眠しなかったっけ。

「美雪ちゃん、長谷川くんのことが大好きなのに。いっつも長谷川くんの事ばっか見てるのに。それなのに長谷川くん、ほんと酷いよ。やっぱモテる男って女に冷たくなるのかな? ねぇ水島くん、どうなの? 水島くんはモテるけど女に冷たくないよね? どうなの水島くん?」

「あ、あ、え? い、いや、俺はべ、別にさ……」

 ハセガワクンノコトガダイスキナノニって何だろう。リス語だろうか。そして、全身を小刻みに震わすほどの悪寒は消えてくれないのに汗が止まらないのは何故だろう。低体温症で暑さを感じるというアレだろうか。まったく、この世は不可思議なことばかりだ。璃子のリス語に目をパチクリとさせている涼太の表情もカチコチである。まるでヘビに睨まれたカエル、いや、リスに睨まれたドングリといった様相だ。

「ねぇ美雪ちゃん、あんな奴のことなんてぜんっぜん気にしなくていいからね。大丈夫、美雪ちゃんはモテるからさ。あんなちょっと背が高くって顔が良くって運動出来て勉強が出来るだけの唐変木なんかよりも、もっとずっとずーっと良い男がすぐに見つかるよ!」

「……ぅ」

「あ、そうだ、水島くんなんてどうだろう? 水島くんって優しいし、イケメンだし、何より美雪ちゃんの幼馴染だし。あたし、美雪ちゃんと水島くんってすっごくお似合いだと思うなー?」

「うっおおおい! な、な、な、何言ってんだよ、あんた!」

「え? 二人がお似合いだって言ってるだけだよ?」

「いやいや、いやいやいや、おかしいって! お、俺たちはただの友達で……」

「えー、あたし、客観的な意見を述べてるだけなんだけどなー? うひひ、水島くんもさ、美雪ちゃんが泣く姿なんてもう見たくないでしょ? あたしだって見たくないし、それには水島くんが美雪ちゃんを守るのが一番だと思うんだよねー」

「な、な……!」

 身を乗り出すようにして腰を上げた涼太の首元に向かって璃子はそっと唇を寄せた。

「水島くん水島くん、傷心してる女の子ってね、チャンスなんだよ?」

「だ、だ、だ、だからあんたさっきから何言ってんだよ!」

「いひひ、ね、美雪ちゃんも良いと思うでしょ?」

 極寒の世界においてただ一人饒舌な璃子の瞳がクリクリとした動きを見せる。その目は静止したドングリを狙うリスのそれではなく、動き回る獲物を前にしたクモの複眼さながらであった。未だにリス語を解読出来ないでいた私は「……ぅ?」といったような曖昧な返事以外は返せないでいた。

 いったいこのリスは、いや、このクモは私に何を伝えたいのだろう。先ほどから「ハセガワクン」だの「ミズシマクン」だのといった単語が頻繁に出てきているような気がする。それらは日本語における「長谷川くん」や「水島くん」といった固有名詞と同じ意味なのだろうか。もしそうだとして、このリスグモという名の怪物が日本語を喋ろうと努力を重ねているのであれば、その言語解読は案外簡単なのかもしれない。

 例えば先ほど呟かれた「ハセガワクンノコトガダイスキナノニ」というリスグモ語は「長谷川くんのことが大好きなのに」と日本語に訳すことが出来る。だが、直訳したところで意味が通じるとは限らないのが言語の難しい所だ。文法が違えば書き順によって意味が変わってくるし、単語一つ一つにも意味のズレが生じてくるだろう。それにである。たとえ両者に単語や文法の相違がなかったとしても「長谷川くんのことが大好きなのに」とは、単純に、長谷川くんという人物に対して誰かが好意を寄せているという意味を示している可能性があれば「長谷川くん、ノコトガ、大好きなのに」と、つまり「ノコトガ」という正体不明の何かに対して長谷川くんが好意を寄せているといった意味を示している可能性もあるのだ。果たして「ノコトガ」とは何なのだろうか。何やら不吉な響きだ。何かの名詞であることは確かなのだが「ノコトガ」とはいったい……。

 いや、まさか「ノコト蛾」と読むのではあるまいか。そうだとすれば「ノコトガ」とは節足動物門・昆虫網・チョウ目に分類される虫を示した名詞だということになる。馬鹿な。あんな不気味な羽を持つ奇怪な生物に好意を寄せる者など、よほどの虫マニア以外にはあり得ない。虫マニア以外で蛾を好むものがあるとすれば、それは蛾を捕食する側に立つクモなどの肉食動物だろう。そんな、そんなことって……。長谷川くんの正体がクモだったなんて……。馬鹿な。あり得ない。そんなの絶対に嫌だ。

「美雪ちゃん? 美雪ちゃーん? ああ、水島くん大変だよ、美雪ちゃんがまた固まっちゃってる」

「あんたが変なこと言うからだろ!」

「いひひ、別に変なことなんて言ってないけどなー?」

 いや、冷静になれ私。長谷川くんがクモなわけないだろう。あくまでもそういった意味の言葉をリスグモが呟いたかもしれないといった可能性の話であり、そもそもリスグモ語の翻訳自体がまだ曖昧で不明瞭ではないか。

 話を整理しよう。今、私は公園のベンチで青い空を見上げながらアクエリアスを飲んでいる。私の隣では大妖怪リスグモこと栗山璃子が何やら小さな舌をなめずり回しており、更にその隣では、変態王子こと水島涼太が捕食対象に選ばれたドングリのような固い表情をしている。先ほどリスグモが呟いた「長谷川くん」という単語は、璃子の隣に座っていた涼太、もしくは私に向かって吐かれた言葉だったと推測出来るだろう。そう言えば「水島くん」という固有名詞も呟いていたような。もしかしてリスグモの話には長谷川くんのみでなく涼太も登場していたのだろうか。

 そうか、そういうことか。そもそも話の一部のみをピックアップしてしまった事が間違いだったのだ。木を見て森を見ずとはまさにこの事だ。一から全を知ろうと試みた私が馬鹿だった。リスグモの話の全体、そこに真相が隠されていたのだ。

 ええっと、確か「美雪ちゃん」と私の名前を呟いた後に「長谷川くんのことが大好きなのに」と言葉が続いて、そして「いっつも長谷川くんのことばっか見てるのに」と続いて……。ふむ……。

「違うっ!」

 私の絶叫がヒグラシの鳴き声と拮抗する。そんな微かな声に気が付いた璃子と涼太が私を振り返ると、太ももを覆う制服のスカートを力一杯握り締めた私の視線が徐々に足元へと下がっていった。背中を丸めた私の頬に長い髪が張り付く。先程までの凍えるような寒さは何処へやら、うだるような夏の暑さに私の額を流れる汗が止まってくれない。

 いや、違う。

 違う。違う。違う。

 違うのだ。何もかもが間違っている。いったい何の、何の話だったか。えっと、確か「美雪ちゃん」の後に「長谷川くんのことが大好きなのに」ときて、それから「いっつも長谷川くんのことばっか見てるのに」って……。

「ち、違うっ! 違うもん!」

「美雪ちゃん? 大丈夫?」

 不安げに眉を下げた璃子が私の顔を覗き込むと、更に体を丸めた私はその視線から顔を隠そうとスカートを引っ張り上げた。暑さなど関係ない。今はとにかく隠さないと、いや、隠れないと。とにかく、何故かは分からないけど、私は隠れないといけないのだ。

「ちょ、美雪ちゃん! 見えちゃう見えちゃう!」

 私を隠れさせたくないのか、私のスカートを全力で下に引っ張る璃子に対して私は必死の抵抗をみせた。涼太はといえばこちらの喧騒に全く興味がないのか、明後日の方向に視線を泳がしてしまっている。

「違うっ……! 絶対に違うぅ……!」

「うんうん、違うよね。違ったんだよね、美雪ちゃん」

 それにしても、暑い。ここはサウナか。いくら夏真っ盛りとはいえ、この時間帯にこの暑さは異常である。まさか太陽が地球に近づいているのだろうか。この世界はこのまま太陽に呑まれてしまうのだろうか。

 全力でスカートを引っ張る璃子の力に負けた私の上半身が前屈みに倒れる。階級差をものともしない圧倒的なパワーである。だが、今の私にはそこに思考を傾ける余地がない。

 そうだった。リス子はそういう奴だった。この妖怪の主食は他人の情事なのだ。今、まさにリス子は捕食の最中にある。私が長谷川勇大に色情を抱いているといった妄想を味わっているのだ。

 いや、待てよ。そういえばリス子の奴さっき「長谷川くん」という名と共に「水島くん」という名も呟いていたような。何故だ。まさか長谷川くんと水島くんのカップリングを妄想して……。いやまて、その性癖を持つのはこやつではない、あいつだ。私のもう一人の友達の……。いや、そんな事、今はどうでもいい。いったい何故だ。何故リス子は涼太の名を持ち出したのだ。確か尋常ではない内容だったはず。だってその話を聞いていた涼太の様子があまりにも……。

「うわあ!」

 がばっと私が顔を上げると、驚いた璃子の体がベンチから滑り落ちた。私たちとは反対の方向を眺めていた涼太がチラリとこちらに視線を送る。その苦渋に満ちた表情には居た堪れないといった負の感情がありありと浮かんでいた。

 そうであろう。お前も私などと勝手にカップリングさせられて憤りを感じているのであろう。お前の相手はマネージャーの早瀬奈帆以外にあり得ないのだ。安心しろ。今、私が全てを覆してやる。

 いてて、と腰についた砂を払った璃子がベンチに座り直すと、ギッと目を細めた私は璃子の丸い目を睨み付けた。全身の震えが止まらない。それでも私は何とか唇の痙攣だけは止めてやろうと奥歯を噛み締めた。暫くの沈黙。やがて辺りが夕陽に赤く染まり始めた頃、やっと唇の震えが収まってきた私は腹の底から息を絞り出した。

「わ、わたし、別に、は、長谷川くん……好きじゃないから……!」

「ん?」

「りょ、涼太とも、ただの、幼馴染だから……!」

「へー、そっかそっか。ふーん、ただの幼馴染なんだ、ふーん」

 丸い目をイヤラしく細めた璃子の唇が夕焼けに染まる。私と目が合った涼太の目線がまた明後日の方向に泳いでいった。ゆっくりと落ちていく西日。ヒグラシの声が赤い空に呑まれていく。

 人類最大の発明は言葉である。言葉と共に発展を続けてきた人類はもはや言葉無しには生存を保てないだろう。そんな言葉は時として武器となりえ、また、それゆえに言葉を上手く扱えぬ者は弱者として淘汰されていく。

 今まさに、私は弱者の立場にあった。言葉さえ上手く扱えていればこんな惨めで居た堪れない状況は訪れなかっただろう。例えば今日の朝、あのクソ憎たらしいナンパ男どもに「迷惑だ」と言えていさえすれば、例えばクラスメイトの誰かに「一緒に弁当を食べたい」と伝えられていたら、あの時、長谷川くんに「ありがとう」と微笑むことが出来ていたのであれば、こんな悲惨な状況には追い込まれていなかった筈なのだ。

 私は決心した。

 もはや言葉を扱うことが苦手などと言ってはいられない。生まれ変わるのだ。明日から、いや今日、今この場で、私は生まれ変わるのだ。

 黄昏時の丘。赤く染まった芝生が風に流れる。アクエリアスを飲み干して立ち上がった私は「バカモノー!」と夕陽に向かって声を張り上げた。

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