第14話 戦いの行方(1)

「あんまり、私をガッカリさせないでくれよ! 最強の戦士アマンダさんよぉ!」

温厚に見えていたトタルは人が変わったようにアマンダに激しい攻撃を続ける。

そのぶつかりの音は人間同士の戦いから発せられるようなものでは到底ない。

まるで、岩と岩がぶつかり合っているかのような重い音だ。

通常の戦士だったら身体が粉砕されているだろう。

一郎はもちろん、アマゾニスであるカルクもリズも恐怖で震えていた。

「とてもじゃないが、私たちレベルが敵う相手じゃない」

「ああ。ガッカリだ……ガッカリだ! ガッカリだ! ガッカリだ! 何がアマゾニス最強だよ! てめぇは小さな世界の中でのチャンピオンだったってわけか! 私の楽しみを返せよな!」

トタル渾身の蹴りを入れようとした瞬間、アマンダは超スピードの蹴りを掴んだ。

「はぁ!?」

そして、トタルを地面が抉れるほど叩きつけた。

「う……そ……」

一郎たちとカルクたちは絶句した。

さっきまで、防御しかしていなかったアマンダが一瞬で攻撃に入り、トタルに一撃を喰らわせたのだ。

「やった! アマンダの勝ちだ!」

一郎は喜んだが、カルクとリズは神妙な顔つきで地面を見続けていた。

抉れた地面からトタルが這い上がり、完全に立ち上がると笑い出した。

「あはははははははははははは! そうだよ! これだよ! もっと私を楽しませてよ! さぁ! もっと殺す気で来てよ! アマンダ!」

勝負はまだついていなかった。

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