第8話 結婚生活


アマンダとの結婚生活は以前と変わらないものだった。

元々アマンダの家にお世話になっていたのだ。

俺のいた世界だといわゆる『ヒモ男』とか言われるのだろう。

結婚はさっぱりしたもので、お互いが焼いたドラゴン肉を交換するという普段やっていることと何が違うのだろうと思って、緊張といったものが一切なかった。

この世界での結婚は俺には性に合っていたようだ。

「アマンダ、今日は狩りの日じゃないか?」

「そうだよ。今日はタイガードラゴンていう足が速いやつだから、確実に仕留められるかわからないんだよ。捕れなかったらごめんね」

「キミたちが無事で帰って来られる方が俺は良い」

アマンダは無言で俺を抱きしめた。

アマンダの大きな腕と鍛えられた硬い腹筋が戦士を感じさせた。

タイガードラゴン。おっかないのが合体した名前だな。

以前、ひとりのアマゾニスが背中に大きな爪痕を残す怪我をした。

しかし、彼女たちは大いに喜んだ。

怪我は彼女たちの勲章らしく、大きな怪我を背負っていればいるほど美しいとされる。

アマンダは先頭を切って戦いに行くが、傷をつけることはあまりなかった。

怪我が勲章として扱われることにアマンダは昔から良いことだと思っていないらしい。

傷が少ないアマンダだが、それでも絶大な人気を誇るのは傷をつけないという無駄のない戦いをしているという証拠であり、傷をつけた方が良いのか、無い方が良いのかわからない言い伝えだった。

俺は部屋の掃除と狩りで破けてしまった服を縫ったり、木彫りでスプーンとフォークを新調した。

夕方になり、狩りから帰ってくる声が聴こえてきた。

タイガードラゴン。一体、どんなものなのだろうか。

「イチロウ! 大量に捕れたぞ!」

それは小さいシマシマ模様のドラゴンだった。

「こ、これがタイガードラゴンか……」

少し拍子抜けしたが、みんなが無事でよかったという気持ちが一番だ。

「この大きさなら唐揚げが美味しそうだな!」

「今日は唐揚げ! やった! イチロウ! 大好きだ!」

アマンダは人目を気にせず、俺を抱っこして、キスをした。

「は、はははは! 今日は唐揚げパーティーだ!」

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