第7話 そろそろどうだい?
アマゾニスの村に来て半年経った。
スーツを元にしてアマゾニス村に適応できるように動きやすいように縫い合わせた。
革靴もサンダルに改造し、カバンは切り取って皮手袋にするというアイディアで工夫をしていった。
最初はどこかで「もし、元の世界で戻ってしまったら」という不安があったが、今は、アマゾニスたちと一緒にいるのが俺の現実だった。
俺は多分、誕生日を迎えるか、もう迎えているかもしれない。
年に1度の男の村とのお見合いが俺が現れたことにより、半年に1度になったらしい。
男たちは俺と身長が変わらないが俺の世界だとやはり高い部類に入るが、アマゾニスたちと比べるとやはり差が圧倒的だ。
だが、そんなことを一切感じさせない、お見合いパーティーはとても楽しいものだった。
谷奥でしか取れないドラゴンを解体し、それぞれ、好きに調理していった。
「イチロウーずいぶん慣れたようだな! どうだ? オレたちの村に来ないか?」
「う、うーん……俺は……」
りんごをすりおろし、ろ過したジュースを飲みながら、考えた。
確かに、男たちの村にいた方が良いかもしれないが……。
「いや、俺は今が好きだから」
「そうかー。まあ、来たくなったらいつでも来ていいぞ。長老にいえば、村から村へ引っ越すこともできるからな」
アマゾニスの村から男たちの村に行った者もいるそうで、安心していけるとはいける。
ただ……。
俺はアマンダの方をチラリと見た。
男たちにもアマゾニスたちにも大人気でその姿はヒーローのようだった。
「俺はあの村が好きだから」
パーティーが終わる頃、長老が俺に近づいてきた。
「イチロウ、そろそろどうだい?」
「もう少しで片付け終わりますので」
「そうじゃない」
「アマンダとの結婚だよ」
「え? 結婚?」
「アマンダはお前のことを好いているぞ」
「そうなのかな。もっとかっこいい人や、俺より仲いい人いるけど」
「アイツの心を読んだが、心の中はイチロウでいっぱいだったぞ」
「う、うーん。そうか……アマンダ……」
長老に言われ、とても嬉しかった。
結婚という言葉より、アマンダが自分のことを見てくれていることに。
しかし、あくまで長老からの言葉だ。
アマンダからの声を聞くまでは気持ちはまだ仕舞っておこう。
次の日、俺とアマンダは結婚した。
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