第10話 驚嘆

模試の結果がポストに届いた。

妻が心配そうに持って来たが、結果は本人が先に確認すべきと思い、渡してやった。

午前診がスタートし、古くからの患者の問診をしていた時に、小部屋から雄叫びが聞こえたのだった。


「よっしゃ〜!!」


「すいません、ちょっとお待ちくださいね。」


俺はそう患者に言うと、看護師である妻が患者の応対をして時間を繋いでくれた。


「何があった?」

「やりました!僕が希望する医学部、全てにA判定が出ました!」


「よっしゃ〜!!」


俺はさっき聞こえたよりも大きな声で雄叫びを上げてしまった。

よし、いける、いけるぞ。

ひょっとしたら、こいつやるかも知れないな。

そんな想いが湧いてきた。

急いで診察室に戻ると、妻が懐かしい笑顔で、

「寺田さんお待ちでしたよ。」

「あっスマン、スマン。お待たせしました。」


息子は勉強が出来るタイプではあるが、ギターを弾いて勉強から逃げていた時期もある。

ヘヴィメタルにはまっていた時は、外来患者を驚かせ、困ったものだった。

診療所に古くから来る患者は、雄叫びも慣れっこだったのかも知れない。

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