初恋がなかなか成就しないのはどうしてでしょう。
青春時代、どうしてあんなに情熱を燃やすことができるのでしょう。
その答えの一つ。片鱗が本作にあるような気がします。
この物語はビターエンドな現代ファンタジー。
難病を患ったヒロイン。
死神とくれば、自ずと展開は予想できてしまうかもしれません。
そして、その予想は心地よく裏切ってくれるでしょう。
初恋は実らない。
あの頃は、あんなに死物狂いになることができた。
命を燃焼させて。
死神の鎌すら怖くないくらい。
だから、当事者以外、理解できないかもしれない。
親や友達というフィルターから見たら
それは、過ぎ去った過去、事情、現実、事実。
ただ、それだけだとしても。
ラストのラスト。ラスト中のラスト。
偶然が重なったのは、フィクションだから?
ここは、読み手それぞれの自由かもしれませんが
すくなくとも筆者は、どうやらまだ
青春を燃焼終えていないようです。
命の篝火と初恋はまるで死神の鎌で刈られるように揺らめいて。
消えそうになっても、燃え上がある。
空気という空気を燃焼させて。
消えそうになっても、絶える寸前であっても
「僕」が選択したように
「死神」が選択したように
「彼女」が名前を呼んだように
それはきっと「初恋」と呼ぶし
その瞬間しか無い時間――。
つまり「青春」って呼ぶんだと思うんです。